H3ロケットが上がらない…「どうなった?」「次はいつ?」 発射場ある南種子町役場に問い合わせ相次ぐ

 2023/02/17 21:44
予定時刻を過ぎてもH3ロケット1号機が打ち上がらず、ぼうぜんとする見学客=17日、南種子町の長谷公園(緒方隆撮影)
予定時刻を過ぎてもH3ロケット1号機が打ち上がらず、ぼうぜんとする見学客=17日、南種子町の長谷公園(緒方隆撮影)
 発射場は白煙に包まれ、エンジンの大きな音が響くものの、H3の機体は一向に上がらない。新型基幹ロケットの旅立ちを一目見ようと、約1000人の見学客が詰めかけた鹿児島県南種子町の長谷公園では、子どもたちが「頑張れ、頑張れ」と必死に声を張り上げた。

 当初12日だった打ち上げは、3度の延期を経て17日になった。西之表市馬毛島の自衛隊基地工事の影響で宿泊先確保が難しく、キャンピングカーやキャンプでしのいだ見学客もいた。熊本県水俣市の会社員本田賢孝さん(51)もその1人。「楽しみが上回り、大変ではなかった。今回は予行演習のつもりで、また見に来たい」と笑顔を見せた。

 H3は今後の日本の宇宙開発を左右するロケットとして取り上げられており、会場には若者や子どもの姿も多かった。鹿児島大学大学院の林慶悟さん(24)は「打ち上げ見学は初めてだっただけに残念。やっぱり1号機ならではの難しさがあったのか」と話した。

 同公園を含む町内4見学場には計1798人が集まった。種子島宇宙センターからロケットが打ち上げられて50年の節目に当たった2018年10月、H2A40号機以来の高水準だった。

 打ち上げ予定時刻が過ぎると、町役場には「ロケットはどうなったのか」「いつ打ち上げるのか」といった問い合わせの電話が相次いだという。小園裕康町長は「全国的にも注目度は高い。しっかり原因を調べ、次は成功させてほしい」と願った。