議場で寝てばかり…じゃなかった 国会議員の下でインターンする学生増える 「政治が身近に」 投票率アップも期待

 2023/02/20 08:30
宮路拓馬氏の国会事務所でインターンシップに取り組む別枝寛仁さん(左)と桐原萌さん=衆院の第一議員会館
宮路拓馬氏の国会事務所でインターンシップに取り組む別枝寛仁さん(左)と桐原萌さん=衆院の第一議員会館
 鹿児島県出身の国会議員の下で、議会の役割や行政の仕組みを学ぶインターンシップ(就業体験)の取り組みが広がっている。4月の統一地方選に向けて投票率向上が課題となる中、若者の政治参加の意欲を高める効果にも期待がかかる。

 宮路拓馬氏(衆院鹿児島1区)の国会事務所には、大学生ら24人がインターン登録、うち19人が県出身だ。講義やアルバイトの合間に週1回ほどホームページの更新や資料づくりを手伝う。国会内での会合の運営に関わることもある。

 「政治を身近に感じるようになった」と話すのは、メディアへの就職を希望する法政大2年の桐原萌さん(19)=志學館高卒。母親の勧めで2021年から加わり、議員のラジオ収録に同行するなど「社会経験も積める」と喜ぶ。ただ同世代で政治や選挙が話題になることはほぼないとし、「地方選ともなればなおさら関心は低い」と残念がる。

 東京大2年の別枝寛仁さん(21)=鶴丸高卒=は、宮路氏が取り組む「フェムテック」政策が議員連盟の活動を出発点に政府方針に盛り込まれる過程を目の当たりにした。女性特有の健康課題を技術で解決するフェムテックはその後、流行語にもなった。

 この経験から、若者が悩む奨学金返済問題など身近な課題の解決に政治家が取り組む姿を、交流サイト(SNS)などで正確に届ける必要性を感じる。「議場で寝てばかりとのイメージが先行する議員の本来の姿が伝わるのでは」と話す。

 沖永良部島出身で立憲民主党の太栄志衆院議員(神奈川13区)の事務所では、通信制高校2年の加藤大河さん(17)=横浜市=が政策スタッフを務める。卒業単位を取得済みで、週2~3日通う。国会質疑やテレビ出演の発言構成を考えたり、官庁とのやりとりを引き受けたりと多忙だ。

 外交安全保障の学術研究を志す加藤さんが「政策実務の現場を知りたい」と、太氏の事務所の門をたたいたのは2021年衆院選直後。今年9月にはいよいよ選挙権を得る。各種選挙で若者の投票率が低迷していることについて「与えられた権利を使わないのは、意識しないまま権力側や特定の政治勢力を委任することになる」と自戒を込めて語った。