【第70回鹿児島県下一周駅伝】中学生特別区、将来担う逸材が力走 区間賞は出水チームの黒田

 2023/02/20 07:15
次代の大会を担う逸材へ。レース最初の特別区を走る中学生ランナーたち=19日午前9時3分、南さつま市加世田村原1丁目
次代の大会を担う逸材へ。レース最初の特別区を走る中学生ランナーたち=19日午前9時3分、南さつま市加世田村原1丁目
 鹿児島県下一周駅伝2日目の19日、レース最初の中学生特別区は各チームの将来を担う逸材が3.2キロのコースを懸命に走った。

 アップダウンが激しい坂道が選手を苦しめる中、出水チームの黒田大翔選手(出水中3年)が残り1キロで先頭に立ち、そのまま区間賞を獲得した。「絶対に負けられなかった。トップでたすきをつなげられてうれしい」と笑顔を見せた。

 黒田選手は今年度、前田陽向選手(国分南中3年)と家弓龍哉選手(和田中3年)の2人と県内の中学陸上長距離の上位を独占。いいライバルとして互いを高め合ってきた。

 しかし2人は体調不良で県下一周の欠場を余儀なくされた。中学校の集大成となる大会で競えないことを残念に思いながら、「区間賞は誰にも譲らない」と決意して臨んだ。

 高校でも2人との激しい戦いが待っている。「またいい競争をしたい」と先を見据えた。

 「小さい頃から『気持ちが1番大事』と言われてきた。気持ちで押し切った」。2位となった伊佐チームの中島陸斗選手(大口中央中2年)は母絵美さん(42)の言葉を胸に堂々とした走りを披露した。

 絵美さんは強豪の神村学園高(いちき串木野市)女子駅伝部出身。中島選手は小学2年から絵美さんに陸上を教わり、直伝の練習メニューを積み重ねて成長した。中学で陸上部に入り、今年1月の県中学校新人駅伝ではエースが集う1区の区間賞をもぎ取った。

 今大会も得意のラストスパートで先頭に迫った。沿道で見守った絵美さんは「今後につながるいいレースだった」とねぎらった。

 川薩チームの紙屋綾杜選手(川内北中3年)はけがを乗り越えて晴れ舞台に立った。中学2年時に陸上800メートルで全国大会に出場したが、3年生になって間もなく腰椎分離症を発症。約4カ月間、陸上から離れざるを得なかった。

 ストレッチや体幹、腕周りの筋力トレーニングで体を強化し、昨夏に復帰。少しずつ調子を上げて大会を迎えた。中継所の到着は9位。「地元を代表して走る特別な大会を楽しめた。今日の悔しさを高校で晴らしたい」とリベンジを誓った。