【鹿児島県下一周駅伝】天国の母へ、山村留学の古里へ感謝の走り 熊毛チームの高3佐久間選手「恩返し」の区間賞
2023/02/21 07:25
6区区間賞の力強い走りでチームに貢献した熊毛の佐久間大河選手=20日、伊佐市大口曽木
山村留学は母・里実さんの思いがきっかけだった。一人っ子の佐久間選手が「きょうだいのように過ごせる人たちを作ってほしい」と、小学5年生の時に応募した。
しかし、留学目前の2016年3月、悲しい出来事が起こる。乳がんを患い闘病していた里実さんが42歳で息を引き取った。それでも佐久間選手は「種子島に行ってほしいというのが母の願いだった」と前を向き、島に渡った。
南種子町の中平小学校に通い始めた直後、今度は祖父母が暮らす古里で熊本地震が発生した。祖父母は無事だったものの、2階建ての自宅は半壊し、建て直しを余儀なくされた。
相次ぐ困難を支えてくれたのは、下宿先の里親や他の留学生など周囲の人々だった。「一緒に生活していると、楽しくて元気をもらえた」。駅伝熊毛チームの古市利秋監督(55)が指導する陸上クラブに偶然出合い、加入した。
島の生活になじみ、熊本に戻る予定を変更し南種子中学校に入学。陸上を続けた。当時は「県大会で良くて真ん中ぐらいの順位」だったが、鹿児島城西高校(日置市)駅伝部で頭角を現した。2年の県高校新人大会3000メートル障害で自身初の優勝。九州大会でも3位に入った。高田敏寛監督(46)は「真面目で努力家。想像以上に伸び、結果が出るのも早かった」と話す。
春からは同高校出身の憧れの先輩、大六野秀畝(旭化成)、漆畑瑠人両選手と同じ明治大学に進む。「箱根駅伝などに1年生から出て区間賞を取り、チームの優勝に貢献したい」と意気込んでいる。
高校ラストレースとなる今大会は、初日のエース区間で5位。20日の第3日は駆けつけた父親らの声援を力に変えた。アップダウンのあるコースで四つ順位を上げ、大会出場3年目で初の区間賞を手にした。
「鹿児島で陸上を始めて古市さんや仲間と出会い、高田監督の下で力を付けて大学に進むことができた。留学を勧めてくれた母に感謝している」
22日の最終日までにあと1回出走する予定。「次も区間賞を狙い、監督を退任する古市さんにCクラス優勝を届けたい」と再度の恩返しを誓う。
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