大島チーム唯一の徳之島在住 エース國島選手が粘りの走り「独りだからこそ、負けたくない」 学生時代の苦難もバネに 昨春結婚、家族の支えで「さらに強くなった」【鹿児島県下一周駅伝】
2023/02/22 07:36
最終10区で粘りの走りをみせた大島チーム・國島毅選手と、応援に駆けつけた妻の冬季さん、希心ちゃん=21日、鹿屋市北田町
主力がそろう初日3区を7位、第2日7区を8位で駆けた。最後のこの日、今年の駅伝が終わってしまうと思うと寂しくなった。沿道からの熱い声援を受け「駅伝を楽しんでもらうことが日頃の感謝や恩返しにつながるはず」とさらに力が入った。「一年分の走りができた。喜びを存分に味わえた」
孤独なランナーだ。伊仙中学校で外部コーチとして陸上を教えているが、練習相手も指導者もいない。毎日約20キロ、朝はサトウキビ畑が広がる集落や海沿いの県道を、日が暮れると街灯がある健康施設の周りをひた走る。
「独りぼっちで走っているとモチベーションが上がらないし、つらいと思うこともある。でも、だからこそ負けたくない。本土の選手に自分が勝ったらおもしろい」。負けん気の強さで逆境を力に変え、毎年自己ベストを更新している。
奄美市の中学校を卒業後、駅伝が盛んな鶴翔高校(阿久根市)に進み、3年連続で出走。卒業後は流通経済大学にスポーツ特待生として進学したものの、貧血に悩まされた。陸上の成績が振るわない日々が続き、学費免除が解かれると告げられ、お金を稼ぐため2年の途中で陸上部をやめた。翌年には、活躍を楽しみにしていた父親を亡くした。
期待に応えられないまま、アルバイトを掛け持ちして生計を立てる日々。「自分は一体何をしているんだろうと毎日考えた。しんどかった」。それでも走ることだけはやめなかった。支えになったのが再び県下一周駅伝に出るという目標。卒業後は徳之島に住み、6年連続で出場している。
第4日ゴール会場。「ツヨシ、ラストラスト!」。昨年4月に結婚した妻の冬季さん(25)が11月に生まれたばかりの娘希心(きこ)ちゃんを抱いて声援を送った。「お疲れさま、かっこよかった」。冬季さんにねぎらわれた國島選手は照れくさそうに娘を抱っこした。「家族ができて一人の時より強くなった」と父親の顔でほほ笑み、「『パパは駅伝が速い』と分かるくらい大きくなるまで、まだまだ頑張らないと」と活躍を誓った。
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