「結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなう社会」どう実現 予算増額、切れ目ない施策目指す 保育現場からはイメージ改善要望も

 2023/02/22 08:30
子どもの成長や悩みなどを話す母親ら=日置市の「エンゼル」
子どもの成長や悩みなどを話す母親ら=日置市の「エンゼル」
 2月中旬、鹿児島県日置市の子育て支援センター「エンゼル」を3組の親子が訪れていた。常駐する保育士と子育て支援員に相談したり、親子同士が交流したりする場。多い日は10世帯ほどが利用するという。

 1歳と2歳の息子がいる鹿児島市の古市舞さん(37)は「新型コロナ下の子育てということもあり、ここに来なければ自宅で閉じこもりがちになっていたかもしれない」と打ち明ける。日置市の委託を受け、エンゼルを運営する美山福祉会の馬場譲二理事長(48)は「周囲とのつながりがほしいと訪ねてくる保護者もいる。ホッとできる場をつくっていきたい」。

 県の2023年度当初予算案では、子育てに悩む親を支援するため、子どもとの接し方を指導するペアレントトレーニングを実施する市町村に経費の一部を補助。家事・育児に不安を抱える世帯や妊産婦らを支援員が訪問し、相談に応じる市町村も支援する。

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 県は23年度の主要施策の新たな柱に「結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなう社会の実現」を掲げた。「少子高齢化に伴う人口減少は、人手不足の深刻化や地域の活力低下を招き、危機感を感じている」。塩田康一知事は10日の予算案発表会見で、理由を述べた。

 総額は前年度比で38億円増の470億円を確保。先進医療不妊治療費の助成や北部児童相談所開設、ヤングケアラー支援体制の構築など県単独を含めた新規事業を盛り込み、結婚から子育てまで切れ目のない支援を目指している。

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 県は岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」と連動させ、人材確保をはじめ保育サービスの拡充にも力を注ぐ。鹿児島労働局によると、県内の22年12月の有効求人倍率は全体の1.36倍に対し、保育士は3.23倍で人材不足は続く。

 19年度の事業開始後、「一定の成果を上げている」として増額するのは、保育士を目指す学生への修学資金貸し付け事業。県内の保育施設で一定期間働けば返済が免除となる。22年4月時点で制度を利用した150人中、98人が現場で働いている。23年度は利用者枠を20人増の70人とする。

 現場向けには、園児に直接関わる保育補助者と、遊具の消毒・清掃や給食の配膳などを行う保育支援者を配置する補助金を増やす。

 日置市で保育園も運営する美山福祉会の馬場理事長は「県の子育て支援関係の施策は充実してきた」と評価。その上で「保育現場は仕事が大変とのイメージが定着してしまったので、改善に向けた発信をしてほしい」と要望した。

(連載「点検 鹿県予算案2023」より)