馬毛島基地問題で賛否伯仲の西之表市議会 議長の辞職巡り紛糾、両派が主導権争い 臨時会は時間切れ閉会

 2023/02/22 08:00
議会対応を巡って協議する議員ら=21日午後7時すぎ、西之表市役所
議会対応を巡って協議する議員ら=21日午後7時すぎ、西之表市役所
 西之表市議会(定数14)は21日、臨時会を開いた。川村孝則議員(63)=7期目=の議長辞職意向を巡って議論が紛糾、会期日程を超えた22日午前0時に時間切れで閉会した。同市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備を巡る賛成、反対派それぞれの思惑が背景にあり、両派の主導争いが改めて浮き彫りになった。

 臨時会は、申し合わせで2年とした任期が切れる議長の後任選出などを目的として開いた。基地整備についての賛否は7人ずつで伯仲。本会議採決に加わることができない議長に誰が就くかが注目された。川村議長は反対派のため、現状の採決では反対派6に対し、賛成派が7で優位に立つ。

 川村議長は臨時会に先立つ議会運営委員会で、議長を辞職する意向を表明。しかし、その後の全員協議会で立候補者が出ず、両派が「申し合わせ」を巡って対立した。「議会の円滑な運営のためで強制力はない」(賛成派)、「議会自ら決めたことを覆すのか」(反対派)などと意見はかみ合わなかった。

 発端は2021年2月の改選後初の臨時会にさかのぼる。川村議長の選出に当たっては、事前に両派で「次は賛成派から議長を出す」との“約束”があったとされる。以降、同年6月には議会として初めて基地整備計画に賛意を示す意見書が、22年9月には馬毛島の市有地売却や3市道廃止の議案が可決された。

 いずれも1票差だっただけに、反対派には申し合わせ任期の終了を機に議長交代を求める声が強まった。一方、賛成派は自派から議長を出せば採決で劣勢に転じ、基地整備に伴う米軍再編交付金などに影響しかねないことを懸念。川村議長が議長辞職願を提出しても認めない構えだった。

 臨時会は予定より2時間遅れの午後3時に開会。2022年度一般会計補正予算の採決後、同4時すぎに休憩に入った。議長辞職願は提出されないまま、両派が断続的に対応を協議し、同9時すぎ、会を再開させず、時間切れで閉会させることで一致した。川村議長は「双方の妥協点が見いだせなかった。苦渋の決断だった」と話した。

 22日に議運委と全協を開き、改めて今後の対応を協議する。