職人の高齢化進む建設業、人手不足は慢性化 「新規受注の辞退多くなった」若者の確保は急務、官民連携で取り組み
2023/02/23 09:57

鹿児島仮設機械に積み上げられた建設工事用足場の資材。現場の職人たちを支える=20日、鹿児島市七ツ島1丁目
県内ではリーマンショックの2008年ごろ、目に見えて建設関連の職人が減り始めた。迫田社長によると、以前は1社に声をかければ人を集められたが、今はそうはいかない。職人の高齢化が進み、外国人技能実習生に頼る割合も増えている。「昔ながらの職人の世界になじめない」「思うような収入が得られない」と、他業種や県外へ移る人も目立つという。
昨今の資材や原油の高騰の影響で、費用圧縮を求める元請けもある。「安全を重視し、社員に利益を還元することが基本。人を大切にする業界でなければ、働く人がいなくなる」と危機感を口にした。
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鹿児島労働局によると、22年12月の県内の有効求人倍率は1.37倍(原数値)。職業別で「建築・土木・測量技術者」は8.15倍と突出して高い。同局は「慢性的な人手不足が続いている。週休2日制の導入が進み、その分を補うために募集が増えたのが一因では」と推測する。
業界が特に苦労しているのが若い人材の確保だ。
「新規の受注を辞退することが多くなった」。鹿児島市の建設会社の総務部長は明かす。施工管理をする現場監督が10人ほど足りないためという。
社員の3割は60歳以上。健康状態や本人の希望次第で最長70歳まで働けるようにしたが、「外に長時間いることが多く、体力的に厳しい」。一方で若い人の応募はわずか。「『建設はきつい』というイメージが根強いのでは。地元志向の工業系高校生を取り合っているような状態だ」
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県は23年度当初予算案に、建設産業担い手確保・育成・定着促進事業として2537万円を盛り込んだ。「就活応援キャラバン」の開催や、情報通信技術(ICT)を使った研修の助成などを予定する。
県建設業協会も県とともに取り組みを続けている。2月には工業系の高校生と専門学校生を対象に合同企業説明会を開催し、63社がブースを出展した。協会によると、参加を希望する企業は増えている。
21年度は高卒の県内就職者の割合、建設業への就職者数とも前年度を上回った。本多公明県土木部監理課長は「ウィズコロナが浸透して、今後は県外就職が増える可能性もある」と気を緩めず、魅力発信を続ける必要性を強調する。
人手不足は建設業に限らない。県の当初予算案では、地域公共交通等人材確保支援事業に1394万円を計上。林業や介護職員の人材確保を目指す予算も組んだ。県と各業界が連携し、長期的な視点で働く人のための環境を整えていくことが求められる。
(連載「点検 鹿県予算案2023」より)
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