打ち上げ中止のH3ロケット 1段目の電源系統に異常 JAXAが文科省会合で報告

 2023/02/23 07:30
補助の固体ロケットブースターが着火せず、打ち上がらなかったH3ロケット1号機=17日、南種子町の種子島宇宙センター
補助の固体ロケットブースターが着火せず、打ち上がらなかったH3ロケット1号機=17日、南種子町の種子島宇宙センター
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで17日に新型基幹ロケット「H3」1号機が打ち上げを中止したのは、機体1段目の電源系統に異常があったためとした。文部科学省の有識者会合で報告した。

 JAXAによると、H3は補助エンジン点火直前(打ち上げの約0.4秒前)、1段目の機体制御コントローラーが異常を検知。補助エンジンを点火する信号が送られず、自動停止した。

 報告やその後の会見で、同コントローラー内の半導体スイッチが何らかの原因でオフになったとみられ、数秒間、電圧・電流が落ちたと説明。機体不具合や地上設備からの電気系統異常の可能性が高く、実機を使った再現試験などで原因特定を進めている。機体や衛星、地上設備に損傷はない。

 打ち上げ予備期間は3月10日まで。期間を過ぎると、年度内の打ち上げは難しいという。

 H3は現在運用中のH2Aロケットの後継機で、使い捨て型の液体燃料ロケット。当初2020年度の打ち上げを見込んでいたが、メインエンジン「LE9」の不具合が相次ぎ、2度見直し。23年2月の打ち上げが決まった後も、飛行計画更新システムの不具合などで3回延期した。1号機は全長57メートル、直径5.2メートル、重さ422トン(衛星含まず)。地球観測衛星「だいち3号」を搭載する。