避難者に立ちはだかる言葉の壁…鹿児島県内の支援は民間頼み 財源に不安「公的支援を」【ウクライナ侵攻1年】

 2023/02/24 07:30
日本語を学ぶウクライナからの避難者=11日、鹿児島市下竜尾町のたてばば福祉館
日本語を学ぶウクライナからの避難者=11日、鹿児島市下竜尾町のたてばば福祉館
 ロシアがウクライナに侵攻して24日で1年となった。戦禍を逃れ鹿児島県内に身を寄せる避難者は21人に上る。戦争が長期化する中、避難生活の課題の一つが言葉の習得だ。主に民間団体や日本語学校がボランティアで担っており、財源に不安を抱える団体からは公的支援を求める声もある。

 在住外国人向けの無料日本語教室を開くボランティア団体「ささえあいネットアトラス」(鹿児島市)は、ウクライナからの避難者宅に教師を派遣して言葉を教えたり、困り事を聞いたりしている。

 南部ザポロジエから昨年11月に来た女性(50)とパートナーの男性(50)は週1回教室に通い、週3回は訪問を受ける。「日本で仕事に就くために、早く話せるようになりたい」と意欲的だ。

 アトラスは現在、避難した4家族を支援。日本語教師の謝金や交通費、テキスト代は民間財団の助成金で賄っている。しかし2023年度以降、任意団体は助成の対象外となるため、財源を確保できるか不透明だという。

 塚田ともみ代表(51)は「避難はいつまで続くか先行きが見えない。行政は民間と連携し、長期的な支援のあり方を考えてほしい」と訴える。

 鹿児島キャリアデザイン専門学校日本語科(鹿児島市)では、避難者5人が他国の留学生と一緒に学ぶ。授業料は無償。テキスト代などは住民らの義援金を充てている。

 ノビス麻里恵科長(44)は「生活する上で社会とのつながりは大切。言葉が分からないと社会参加できない」と学習支援の必要性を強調する。

 神村学園専修学校日本語学科(いちき串木野市)は希望する避難者に、職員がボランティアでウェブ会議システム「Zoom」で教えている。

 鹿児島県は避難者に対し、翻訳機の貸し出しや日本語教室の紹介をしている。県の大西千代子観光・文化スポーツ部参事は「民間の協力を得ながら必要な支援をしたい。県や県国際交流協会が主催する日本語講座もあるため、民間への補助の予定はない」としている。

 あわせて読みたい記事