【鹿児島県下一周駅伝・総評】日置、初日を制し勢いに乗る 3年ぶり沿道に人垣戻る

 2023/02/24 12:00
2年ぶりの総合優勝を果たし笑顔を見せる日置チーム=22日、鹿児島市のみなと大通り公園
2年ぶりの総合優勝を果たし笑顔を見せる日置チーム=22日、鹿児島市のみなと大通り公園
 第70回鹿児島県下一周市郡対抗駅伝競走大会は22日、B級の日置が2年ぶりに総合優勝を果たした。B級が、A級4チームを抑えて優勝するのは32年ぶり。最終日の残り2区間で逆転する劇的なレースで幕を閉じた。36年ぶりのC級優勝を飾った熊毛は、前年より43分22秒を短縮し躍進1位も獲得した。12地区の選手たちが情熱を注いだ5日間583キロの熱戦を振り返る。

 日置は、各チームの主力が顔をそろえる第1日を制して勢いに乗った。第4日まで総合2位をキープ。最終日まで総合優勝への望みをつなぎ、見事に逆転した。昨年は故障に苦しんだ両エースが復活。飛松と三垣はエース区間を走り、区間賞を3回ずつ取った。今田や田口、川口ら社会人勢の粘りも光った。大学生の谷口は、区間3位以上を3回記録した。

 2位の鹿児島は12チーム中唯一、繰り上げスタートを回避した。第3日は姶良の猛追を振り切って優勝、第4日は地元入りの肝属を逆転で制するなど、最後まで大会を盛り上げた。区間3位以上は34と最多。区間10位台はゼロと、安定したレース運びが光った。

 3位の姶良は12の区間賞を獲得、うち五つが区間新だった。中村は今大会で三つ獲得し、大会史上最多の36を記録した。元実業団の押川も2度の区間賞を獲得し、強烈な印象を残した。高校2年生の松下や辻田、日野も区間上位の好成績を残した。

 出水は2度の日間優勝を果たして4位。高校生の活躍が光りA級残留を決めた。区間賞12(中学生の特別区除く)は最多タイ。うち、飯田や玉目ら出水中央高勢が10個を奪った。初日7位と出遅れたが第2、第5日は、先行逃げ切りの布陣で2位を突き放した。

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 川薩は、最終日に総合順位を二つ上げ5位。主力の曽木と淵之上が区間賞を一つずつ獲得して気を吐いた。中橋や吉留、内らも区間上位に入る活躍を見せた。

 6位の川辺は今大会から復帰した源川が区間賞一つ、3位二つと脚力を見せた。田畑と雪丸も区間3位以上が2回。石山は3位が1回ながらエース区間で存在感を示した。

 躍進3位の肝属は7位だった。地元入りの第4日に見せ場をつくった。9区中原が先頭に立つと、最終10区まで先頭争いを演じ、日間3位に入った。区間賞は四つだった。

 指宿は熊毛と激しく競り合い、B級残留を決めた。初日こそ日間10位と出遅れたが、第2~5日は高田や吉鶴が奮闘し、1けた順位でまとめた。

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 熊毛は、最下位だった前回より43分22秒短縮した。B級入りには届かなかったが堂々のレースを展開。高校生の佐久間は、県内トップクラスの選手と互角に渡り合った。

 大島は10位に終わった。初日と第2日はそれぞれ日間9、8位。第3日以降は10位台だった。高校生など力のある選手も目立った。

 曽於は3日目までに粘れず11位。地元入りの第4日、日間6位と意地を見せた。区間10位台の選手が多い中、小田や鈴木、増田らが好走した。

 伊佐は中條が3回走って4、3、3位と好調だった。大学生コンビ中村と出水の好走は、チーム浮上の明るい材料だ。つなぎ区間を強化したい。

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 新型コロナウイルスによる応援自粛要請がなく、沿道には3年ぶりに人垣が戻った。声を出せない代わりに、横断幕や手作りグッズを掲げる人も多数。懸命に手を振って応援する子どもたちも多かった。

 奄美群島の日本復帰を記念して1954(昭和29)年に始まった大会は、審判員や県警、沿道のファン、ボランティアなど大勢の協力を得て、70回の節目を無事に終えた。今後も、関係者全員で安全対策を徹底しなければならない。