種子島漁協、漁業補償22億円受け入れ 馬毛島周辺の漁業権一部消滅にも同意

 2023/02/25 08:45
種子島漁協の臨時総会に臨む組合員ら=24日、西之表市のホテルニュー種子島
種子島漁協の臨時総会に臨む組合員ら=24日、西之表市のホテルニュー種子島
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画を巡り、地元の種子島漁協は24日に開いた臨時総会で、港湾施設整備による漁業権の一部消滅と、防衛省が示した22億円の漁業補償に同意することを決めた。出席者の94%から同意を得ており、漁協として基地整備に賛成の立場を取る。防衛省に近く決定内容を伝える。

 総会は非公開で、同市と中種子町の正組合員計114人が対象。書面提出者36人と委任3人を含む105人が出席した。漁協によると、補償額22億円の内訳を示し、漁業権消滅に約5億5000万円、工事などでの漁業制限に約6億8000万円、漁場価値の減少に約9億7000万円とした。

 漁協が権利放棄の手続きに必要とする「出席者の3分の2以上」を満たす99人が同意し、6人が不同意だった。浦添孫三郎組合長は総会後の取材に、「組合員への配分方法は今後検討する。個人的には漁協に配分委員会を立ち上げるしかないと思う」と話した。

 馬毛島周辺は種子島特産の貝「トコブシ(ナガラメ)」の主要漁場。基地整備で今回漁業権が消滅する範囲は約100ヘクタール。さらに島東岸の漁業制限区域は4年9カ月にわたって全ての漁ができなくなる。

 出席した60代男性は「既に工事の経済効果が出ている。漁業だけでなく、市の将来を考えれば基地を受け入れるべきだ」と話した。反対する浜田純男さん(67)は「先祖から守り続け、残すべき宝の漁場を守ろうという意思が全くない。ものすごく腹が立つ」と声を震わせた。

 漁協は1月、漁業権消滅の是非を問う文書を市内の全組合員279人に送り、87%の243人が同意していた。

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