２４日開会した鹿児島県西之表市議会３月定例会の本会議で、同市馬毛島の自衛隊基地整備反対派で、議長辞職の意向を示す川村孝則議長（６３）＝７期目＝は、辞職願を出さなかった。基地整備を巡って賛成、反対両派の主導権争いが顕在化しており、川村議員は「現段階で提出しても議会の混乱を招くと判断した」と話した。

　市は同日、米軍再編交付金１７億円余を盛り込んだ２０２３年度一般会計当初予算案を提案。全１４議員の賛否が７人ずつで割れ、両派とも自派から議長を出せば本会議採決で劣勢に転じる。再編交付金の活用は賛成派が強く要望してきただけに、多数派を維持したまま予算案を可決したい考えだ。

　市議会は２０２１年６月、基地整備計画に初めて賛意を示す意見書を可決。反対派が「最後のとりで」に位置付けていた馬毛島の学校跡地なども、１票差で売却が決まった経緯がある。川村議長の２年間、採決で劣勢に立ち続けている反対派は、議長交代で巻き返しを図る思惑を抱く。

　次回本会議は３月３日。川村議員は「辞職意向は変わっていない」とし、両派の妥協点を見つけるため、水面下で調整を続ける考えを示した。