障害ある若者の「大学」 第3の進路先となっているのに…学校法人化には高いハードル
2023/02/27 15:45

リサイクルの活動に取り組む学生たち(ユーススコラ鹿児島提供)
ユーススコラは2017年4月に開校し、この春3期目の卒業生が巣立つ。大学教育と同じ4年制で、コミュニケーション・経済・情報、芸術、スポーツ、調理、社会体験など多彩な授業を展開。人権尊重の観点から性教育にも力を入れる。本年度は18~23歳の35人が在籍、家が遠い場合や希望すればグループホームで寮生活を送れる。
同校が開校するまで、県内の特別支援学校高等部や高校を卒業した知的・発達障害者の進路先は、おおむね就職か福祉施設への通所などの二つに限られていた。また、すぐ仕事に就いても人間関係になじめず離職するケースも少なくなく、社会に出るまでの移行期をじっくり時間をかけて学べる同校は、障害のある若者の“第3の場所”になっている。
1年の執印さくらさん(21)は高校卒業後、「働き続けられるか不安」と感じ入学した。学校で行事を計画し話し合う体験を重ねるうちに自信がついてきた。「自分が頑張るだけでなく、相談できる人を増やすことも大切とわかった」と笑顔を見せる。西園健三学園長(61)は「青年期に人としての土台を築くことが、自立の道につながり、人生を豊かにする」と見守る。
一方で自立訓練や就労移行など福祉のサービスを利用する福祉型専攻科は、利用者(生徒)の利用実績(出席日数)に応じた助成になるなど、生徒数で補助が決まる学校法人と比べて運営は厳しい。職員の人件費や運動場の整備などもままならない。麦の芽福祉会は学校法人化を目指し、19年に設立準備会を設立した。現時点の構想は専攻科のある私立の特別支援学校高等部設置で、教育期間は5~7年。
昨年末には、岩手県の私立特別支援学校・三愛学舎の箱崎浩二事務長(51)を招き、学習会を開いた。学校法人化には経営に必要な資金や施設・設備が求められ、ハードルは高いが、「多方面から協力を求めていきたい」と同福祉会。箱崎事務長は「特別支援教育を必要とする鹿児島の子どもたちに、多様な教育の機会を与えてほしい」とエールを送る。
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