厳寒の被災地トルコで診療所支援「数百人の患者が連日…」 鹿児島市の看護師2人帰国、活動を報告

 2023/03/03 11:48
患者を手当てする山之内千絵さん(中央)=トルコ・ガジアンテプ(JICA提供)
患者を手当てする山之内千絵さん(中央)=トルコ・ガジアンテプ(JICA提供)
 2月6日に発生したトルコ・シリア大地震で、国際協力機構(JICA)から国際緊急救助隊・医療チームの一員としてトルコに派遣されていた米盛病院(鹿児島市)の看護師2人が帰国し3月2日、同院で会見し「被災地を忘れないことが支援になる」と語った。

 2人は、中澤弘子救急外来副師長と山之内千絵救急病棟師長。中澤さんは2月13日から23日まで、山之内さんは15日から28日まで、震源地に近いトルコ南部のガジアンテプに滞在した。ともに約70人で構成する日本の1次隊に所属。被災した公立病院近くの臨時診療所支援に携わった。

 1次隊は、臨時診療所の敷地内に野外診療用のテントを設置。約10日間で800人以上の患者を診察し、2人は問診や診察介助、点滴管理を行った。山之内さんは「臨時診療所には数百人の患者が連日訪れており、負担軽減に役立てたらとの思いだった」。

 2人とも苦労したのは「寒さ」だったという。気温は朝晩がマイナス5度、日中でも5度前後で、夜間は競技場に1人用テントを張って寝袋で過ごした。「頭が寒くて眠れなかった」(山之内さん)。

 過酷な環境下だったが、現地の人々に励まされた。「被災者が重い医療用の資機材を運ぶのを手伝ってくれたり、温かい食事を提供してくれたり、私たちへの期待を感じながら活動した」と中澤さん。

 地元の病院スタッフと互いのやり方を尊重しながら進めたことも印象深かった。「もし鹿児島で似た状況になったときには経験を生かしたい」と話した。