「達成感がたまらない」…10年前、88歳で写真展を開いた登山家 98歳になっても元気に山登り

 2023/03/04 11:00
鳥神岡の山頂でくつろぐ大久保利成さん=伊佐市
鳥神岡の山頂でくつろぐ大久保利成さん=伊佐市
 登山と写真を愛する鹿児島県伊佐市大口里の大久保利成さんは88歳で初の個展を開いた。それから10年。98歳となった今も元気に登山を続ける。それを聞いて本当かと耳を疑い登山に同行した。

 温かく春を思わせる2月16日の朝。大久保さんは近所の登山仲間、冨田洋二さん(63)と共に「伊佐富士」と呼ばれる鳥神岡(標高404メートル)の登り口にいた。

 両手に持つ、つえとつるはしを突きながら、98歳とは思えないスピードで急勾配の山道を登っていく。ロープをつかまないと登れないような難所もどこ吹く風。途中の休憩もそこそこに、わずか40分足らずで登り終えた。水たまりや倒木を見つけるとつるはしで土をならし、他の人が登りやすいよう環境を整えている。

 登山を始めたのは運転免許を取った44歳の時。全国各地の山に出かけ、富士山にも3回登った。カメラ片手に山を歩き、四季を写し続けた。自宅の玄関には日本中の原風景の写真がずらりと並ぶ。92歳の時には「九州百名山」を制覇した。

 現在、妻勝子さん(93)を介護しているため、山登りの回数は減ったという。勝子さんがデイケアに出かける日が大久保さんの“自由時間”だ。月に3、4回鳥神岡や高熊山など市内の山を登っている。

 午前と午後に約2時間ずつの散歩も欠かさない。散歩は「これくらい歩ければあの山は登れる」というバロメーターだ。

 98歳を迎えた2月23日も仲間と鳥神岡登山に出かけ、長寿を祝ってもらった。冨田さんは「山の知識がすごい。一緒に登れることが誇り」。大久保さんは「山頂からの眺めと達成感がたまらない。もう少し高い山にもまた挑戦できたら」と意欲を見せた。

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