心筋梗塞死の3日前まで50日連続勤務 屋久島の非正規職員死亡は「公務災害」、過労死認める

 2023/03/04 07:40
男性の好物だったとんかつを供えている仏壇=屋久島町宮之浦
男性の好物だったとんかつを供えている仏壇=屋久島町宮之浦
 鹿児島県屋久島町の町営牧場で2019年8月、勤務中に死因不詳で死亡した非正規職員の男性=当時(49)=について、地方公務員災害補償基金県支部が「公務災害」の過労死と認定したことが3日分かった。50日連続勤務や長時間の残業など、過重な業務で心筋梗塞を発症したと結論付けた。

 町は取材に「(基金側から町に)原因は明らかにされておらず、コメントは出せない」としている。

 男性は同僚と計2人で同町小瀬田の町営牧場で約100頭の牛を管理。19年8月8日夕、牧場の取水口近くで倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。

 同支部が遺族に送付した通知書によると、男性は死亡の3日前まで約50日連続で働き、全く業務をしない休日は半年で5日。4週間で60時間ほどの時間外勤務も続いた。診療録の内容や夏の高温下での屋外作業だった点も勘案し、「公務が有力な原因となって心筋梗塞を発症し、死亡した」と判断した。

 認定は今年2月14日付。町が主張する勤務時間と遺族側に食い違いがあり、審査開始に時間がかかった。通知書は町の勤務管理の不備を指摘、「正確に把握していたとは考えがたい」として、遺族側の記録が「実態に近い」とした。

 牧場業務が2人体制だった点については、「飼育は土日祝日も対応が求められ、2人では困難があった可能性がある」としている。

 遺族は取材に「死亡から3年半たった。町がもっと早く動いてくれれば、これほど不信感は募らなかった。本人が休まずいつも働いていたのを見てきたので、当然の結果」と話した。