中国念頭に抑止力アピール 徳之島、喜界島で日米共同訓練「アイアン・フィスト」公開

 2023/03/04 08:00
水陸両用車で着上陸訓練をする自衛隊員ら=3日午後2時45分、徳之島町の万田海岸
水陸両用車で着上陸訓練をする自衛隊員ら=3日午後2時45分、徳之島町の万田海岸
 陸上自衛隊と米海兵隊は3日、占拠された離島を奪還する着上陸などの訓練を鹿児島県の徳之島と喜界島で公開した。日本国内で初めて実施している「アイアン・フィスト(IF、鉄の拳)」の一環。中国を念頭に南西諸島で実戦さながらの訓練で抑止力をアピールした。

 徳之島では日本側約700人、米側約800人が参加した。徳之島町万田海岸の沖合に停泊した日米の輸送艦から偵察ボートと水陸両用車「AAV7」が発艦。小銃などを持った陸自の離島防衛専門部隊「水陸機動団」と海兵隊の計約200人が砂浜を駆け上がり制圧した。日米の輸送機オスプレイ3機は周辺を飛行し、伊仙町総合グラウンドで離着陸訓練した。

 喜界島では、陸自第1空挺(くうてい)団の約100人が空自や米軍の輸送機からパラシュートでサトウキビ畑などに降下した。島内で米軍の活動はなかった。

 日米部隊トップは万田海岸で記者会見した。水機団長の梨木信吾陸将補は日米共同訓練が昨年11月にも徳之島であったことを巡り、「年度計画で定められている」と説明。「九州・沖縄は地政学的特徴を持つ島しょ部が多い。力の空白をつくらないことが重要」と強調した。

 米第3海兵機動展開旅団長のフリドリック・フリドリクソン准将は「徳之島は沖縄に近く、訓練をサポートしやすい」と述べた。

 IFは2005年度に始まり17回目。今回は2月16日~3月12日で、県外では大分の陸自日出生台演習場で戦闘や実弾射撃訓練などをしている。