新型ロケット「H3」打ち上げ失敗 2段目エンジン着火せず指令破壊 種子島宇宙センター

 2023/03/07 10:57
地球観測衛星「だいち3号」を搭載し上昇するH3ロケット1号機=7日午前10時38分、南種子町の種子島宇宙センター
地球観測衛星「だいち3号」を搭載し上昇するH3ロケット1号機=7日午前10時38分、南種子町の種子島宇宙センター
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7日午前10時37分ごろ、新型基幹ロケット「H3」1号機を鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。2段目エンジンの着火が確認されず、指令破壊の信号を発出した。打ち上げは失敗した。

 2段目エンジン(LE5B3)はこれまでのH2A、H2Bで培ってきた技術を踏襲し、H3用に新たに開発した。JAXAが公表した飛行計画では、打ち上げ303秒後に1段目と分離、315秒後に1回目の推力を立ち上げ、982秒後に燃焼停止。1002秒後に衛星を分離する計画だった。

 H3は、当初2020年度の打ち上げを見込んでいたが、メインエンジン「LE9」の不具合が相次ぎ、2度見直し。22年10月のイプシロン6号機の失敗を受けて、機体の姿勢制御装置の部品も一部変更した。23年2月の打ち上げが決まった後も、悪天候や飛行計画更新システムに不具合で延期が相次いだ。同17日は発射直前に電源系統で異常が検知され、自動停止した。

 H3は現在運用中のH2Aロケットの後継機で、使い捨て型の液体燃料ロケット。H2Aと比べて推力を1.4倍にして衛星打ち上げ能力を向上させ、静止軌道に6.5トン以上の衛星を投入できる。低価格化を進め、打ち上げ費用は半額となる約50億円を目指していた。

 1号機は全長57メートル、直径5.2メートル、重さ422トン(衛星含まず)。LE9を2基、固体ロケットブースターを2基使用した。地球観測衛星「だいち3号」を搭載していた。