実績ある2段目エンジン、改良型に何が…「H2Aではトラブルなし」【H3打ち上げ失敗】

 2023/03/08 07:50
 7日の打ち上げに失敗した国の新型基幹ロケット「H3」1号機は、2段目エンジンに着火できなかった。実績を重ねたH2Aで、長年使われた2段目の改良型。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、幅広い可能性を残しつつ、エンジン本体や周辺の制御装置を中心に原因を調べる。

 H3は下部から順に1段エンジン「LE9」、2段エンジン「LE5B-3」を備える。同日午前10時37分、LE9を2基、補助ロケットを2基燃焼させ、南種子町の種子島宇宙センターから飛び立った。開発が難航したLE9は正常に動き、5分4秒後に予定通り2段目と切り離した。

 問題はこの後だ。当初高度302キロで燃焼を始める予定だった2段目に着火していないことが判明。このため、13分55秒後の午前10時51分、センター管制室から指令破壊信号を出した。

 エンジンの着火には、機体側にある装置から、エンジン側に指令を送る。信号を受け取ったエンジンは点火器に火を付け、全体が動き出す仕組みだ。こういった一連の流れを含め、どこに問題があったかは分かっていない。

 46回打ち上げ、45回成功しているH2Aの2段目エンジンについて関係者は「今回のようなトラブルはなかった」と言及。JAXAは打ち上げ前に、通信やバルブの作動など、一通り点検していたと説明した。

 打ち上げ執行責任者の岡田匡史プロジェクトマネジャーは「地上でできることはかなりやった。原因をしっかり見極めなければならない」とし、「刷新したところも含め、いろいろな可能性がある。信号が出なかったか、途中で途絶えたかなど、特定できる状態ではない」と述べた。