水戸黄門が奉納し、西郷隆盛が大切にした… いにしえの木像まつる楠木神社、地元有志が改修目指す

 2023/03/13 08:30
楠木正成の木像の御神体(楠木神社を守る会提供)
楠木正成の木像の御神体(楠木神社を守る会提供)
 水戸黄門こと徳川光圀によって奉納され、有馬新七や西郷隆盛に大切にされた楠木正成の木像-。鹿児島県さつま町宮之城屋地の楠木神社の御神体には、そんなロマンある言い伝えが残っている。後世に歴史を継承していくとともに町おこしにつなげようと、地元有志が老朽化の進む神社の改修費を募っている。

 楠寺として知られる正成ゆかりの廣嚴寺(こうごんじ、神戸市)によると、光圀は木像3体を奉納。寺に残っていた二つは第2次世界大戦の空襲で史料とともに焼失したという。

 鹿児島に伝わった経緯は諸説あるが、正成を祭る湊川神社(同市)の神社史によると、薩摩藩の町田家によって神戸から運ばれた。その後、有馬新七や西郷隆盛によって祭られ、1877年にさつま町に移されたとされる。

 木像は高さ約25センチ。1969年に完成した楠木神社の社殿は老朽化が進んでいるため、現在は関係者が別の場所で保管している。廣嚴寺の千葉悠晃住職(58)は「唯一の木像が残っていると知った時は驚いた。今後も大切にしてほしい」と話す。

 改修を計画するのは、これまで六月灯の復活や清掃活動に取り組んできた「楠木神社を守る会」(10人)。社殿をはじめ、手洗い場や案内板の改修を予定する。支援金目標額は200万円で、クラウドファンディング(CF)のサイト「CAMPFIRE」で募っている。4月18日まで。

 改修は7月に予定する六月灯までに終わらせ、御神体も神社に戻したい考え。会長の神薗八千朗さん(56)は「以前のようににぎわいのある神社にしていきたい」と話している。境内には勝海舟が、西郷隆盛らを悼み揮毫(きごう)した石碑も残る。

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