やっぱり「別の魚」だった! インド・西太平洋にいる魚、日本で初確認 和名は「オオアカムツ」

 2023/03/08 21:44
新たに確認された「オオアカムツ」(鹿児島大学総合研究博物館提供)
新たに確認された「オオアカムツ」(鹿児島大学総合研究博物館提供)
 鹿児島大の研究チームは、大隅諸島でフエダイ科ハマダイ属の「エテリス・ボーウェンアイ(学名)」を日本で初確認し、標準和名を「オオアカムツ」と命名した。これまで紅海からオーストラリア西部、サモアにかけてのインド・西太平洋で見つかっており、分布の北限が更新された。「魚類学雑誌」電子版で8日、論文が公開された。

 研究したのは、韓国からの留学生ジョン・ビョルさん(35)=同大大学院連合農学研究科博士課程3年=ら。

 「オオアカムツ」は見た目が似ている「ハチジョウアカムツ」と混同されていたが、大きさや脂の乗りが異なり、漁業関係者の間で「別の魚では」といわれていた。ハチジョウアカムツとされる標本20匹を調べたところ、うち4匹で形態や遺伝学的な違いが確認され、別の魚と分かった。

 研究によると、ハチジョウアカムツは体長50センチほどだが、オオアカムツは1.2メートルほどに成長。脂の乗りもよく尾びれの先端が黒いといった特徴を持つ。水深150~200メートルに生息し、一本釣りで漁獲されることが多いという。

 ジョンさんは「日本初確認と分かってうれしかった。(ハチジョウアカムツと)混同されていたが、流通現場で別の魚として扱えるようになって良かった」と話した。