H3打ち上げ失敗 2段目エンジンで電源系統異常 着火しなかった例は初 機体回収は否定的 JAXA報告

 2023/03/09 10:39
地球観測衛星だいち3号を載せ、打ち上げられるH3ロケット1号機=7日、南種子町の種子島宇宙センター
地球観測衛星だいち3号を載せ、打ち上げられるH3ロケット1号機=7日、南種子町の種子島宇宙センター
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8日、新型基幹ロケット「H3」1号機の打ち上げ失敗を巡り、機体の2段目で電源系統の異常があったと明らかにした。文部科学省の有識者会合で報告した。

 機体を海中から引き揚げることには、「今回は主に電気関係が原因であろう」と否定的な見解。飛行データなどの解析で原因を絞り込む考えを示した。

 飛行データなどから、2段目の機体側にある機器から着火を指示する電気信号が送られ、エンジン側が受信したことを確認。着火指示が送受信された前後に、電圧などに異常が発生しており、発生箇所や原因を調べている。

 H3の飛行は約5分後の1段目と2段目の分離までは順調に進んだが、2段目エンジンが着火しなかった。発射10分15秒後に高度632キロに達した後、高度が下がり始めた。搭載衛星を予定軌道に投入できないと判断し、約14分後に指令破壊した。JAXAの液体燃料ロケットで、2段目エンジンが着火しなかった事例はこれまでなかった。

 H3は2月17日の発射直前にも1段目で電源系統の異常が見つかり、打ち上げを中止した。