登山で使う編みロープ 世界で多様な道具開発、救助活動にどう生かす 消防隊員有志がチーム結成 薩摩川内とさつまで初の九州大会

 2023/03/10 15:03
編みロープを使った救助技術を競う参加者=さつま町白男川のきららの楽校
編みロープを使った救助技術を競う参加者=さつま町白男川のきららの楽校
 鹿児島県内の消防隊員ら有志が「TR(テクニカルロープ・レスキュー) SATSUMA」(TS)を結成し、編みロープを使った救助技術の向上に励んでいる。自然災害の激甚化、救助活動の複雑化が進む中で、より安全で迅速な救助につなげるのが狙い。取り組みを広げようと、九州大会を薩摩川内市とさつま町で初開催し、5県から計51人が参加した。

 TSによると、全国の消防隊員が一般的に使っているロープはねじって作る伝統的な三つ打ち。一方、登山などで使われるロープは編み込んで作られており、固定したり、体を支えたりできる多様な道具が世界的に開発されている。国内でも関心は高まっているが、活用方法については県内の各消防組織によって温度差があるという。

 大会は2月28日と3月1日に実施。さつま町白男川のきららの楽校では、選手がロープを使って2階から人を地上に降ろしたり、宙づりになった人を救助したりと4パターンの課題に挑戦した。参加した大隅曽於地区消防組合消防司令補の西村欣也さん(40)は「ほかの人の技術を学べるいい機会になった。若い人にも教えられるようになりたい」と話した。

 TSは2017年に発足、現在161人が所属する。編みロープの活用が職場で進まないため、道具を自費で購入し、休日を使って訓練している人も多いという。代表で、熊毛地区消防組合消防司令補の柳田継司さん(45)は「三つ打ちと編みロープの両方を使えれば、より柔軟な救助活動ができる。今後も互いに技術を磨いていきたい」と話している。