高架橋の防音壁が遊歩道に剥がれ落ちる JR九州は補修工事開始から2カ月後報告 鹿児島市「遅れて遺憾」

 2023/03/11 07:30
表面樹脂の一部が剥落した高架橋の高欄=2021年5月28日、鹿児島市谷山中央7丁目
表面樹脂の一部が剥落した高架橋の高欄=2021年5月28日、鹿児島市谷山中央7丁目
 鹿児島市のJR指宿枕崎線谷山-慈眼寺の高架橋に設置した東レ製高欄(防音壁)の表面樹脂が剥落する恐れがある欠陥が生じた問題で、JR九州が事業主体の鹿児島市に高欄の交換・補修を工事着手約2カ月後の今年2月に伝えていたことが10日分かった。市は「報告が遅れたのは誠に遺憾」と迅速な対応を求めた。

 同区間約2.7キロに高架橋を設け、両側面に高欄を取り付けるなどした「谷山地区連続立体交差事業」は踏切を撤去することで渋滞緩和や街の一体化を図る市の目玉政策。総事業費は約184億円で2016年に開業した。高欄設置費は約4億9400万円で国と市が9割強を負担。残りをJR九州が拠出した。

 中馬礼士郎都市計画部長は「高架下は遊歩道や駐輪場などに活用されている。できるだけ早く交換・補修を終え、安心安全の確保に努めてほしい」と話した。

 高欄の欠陥は21年5月、表面の樹脂部分157グラムが約6.3メートル下の遊歩道に落下して発覚した。市は同年7月、JR九州から東レ製品に不具合の可能性があると報告を受けた。

 JR九州と東レは22年10月に「表面処理の不具合など製品の欠陥が原因」と結論づけ、両社は12月、高欄のパネル計2424枚の約8割に当たる1871枚の交換・補修工事に着手した。この間、JR九州は市に報告していなかった。

 JR九州は取材に「剥落発生時に今後の検査など適切な対応をしていくと伝えている。工事の進捗(しんちょく)に応じて2月の報告になった」と説明した。