職場での不平等 男性も感じている…「一家の大黒柱」は重圧 転勤の偏り、過重な労務負担 ジェンダーに縛られた働き方に問題
2023/03/12 11:00

職場の上司と意見交換する矢越直希さん(中央)=2月24日、鹿児島市谷山中央2丁目の「ちっちゃな保育園」
「女性は県外への転勤や長期出張が少ない」(霧島市50代男性)、「転勤は男性ばかり」(鹿児島市40代男性)など転勤の偏りを訴える回答が相次いだ。「女性を早く帰し、男性が残って仕事しなければならない」(同市50代男性)と過重な労務負担への不満も目立った。
「男性は評価を気にして有給休暇の取得をためらう」(同市50代男性)という現状もあるようだ。いずれも「男性は仕事、女性は家庭」という固定的な性別役割分担意識が背後に透けて見える。
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鹿児島市の保育士、矢越直希さん(27)は1年半前から同市の「ちっちゃな保育園」で働く。スタッフ19人のうち男性は1人。基本的に性別による業務の区別はない。
「子どもと関わる仕事がしたい」と資格を取ったが、女性が多い職種。以前勤めた保育所では女性用しかないトイレを使うのに抵抗があり、悩みも言いにくくて退職した。保育の職に就いた友人の男性も同様にやめた。
今の職場は仕事で気付いたことや意見を言える雰囲気があり、働きやすい。「保育の職に戻れてよかった」と話す。
同園の森田洋介施設長代理(44)は学生時代に幼児教育を学んだが、いったんは別の業種に就職した。「男は家族を養うという意識があり、保育士などの給料では無理だと思った」と振り返る。
賃金に関する2021年の統計調査によると、全国の保育士の平均年収は約382万円。全産業平均より100万円ほど低い。森田さんは「職員が安心して働けるよう、評価や昇格の仕組みを整え、給料に反映できるようにしたい」と意気込む。
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21年の国の出生動向基本調査では、独身の男女ともに、結婚後に子どもを持っても女性が仕事を続ける「両立」を理想とする人が最多だった。若い人ほどワークライフバランスを重視し、就職先を選ぶ際に残業や仕事量をチェックする傾向がある。
一方で、働き盛り世代の男性は職場で過剰な負担を感じる人が少なくない。自殺者に中高年男性が多いのも、固定的な性別役割である「一家の大黒柱」の重みに耐えかねている現れだとされる。
男女共同参画アドバイザーの高崎恵さん(48)は、「働く場を中心で動かしてきた男性たちが、ジェンダー(社会的性差)に縛られた働き方の問題に気付くことが、変化の一歩になる」と指摘した。
(連載「働く 平等ですか?かごしまの職場から」より)
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