希少種「グンバイトンボ」護岸整備でピンチ 生息地保全へ愛好家ら植栽活動 豪雨災害の復旧工事で県が配慮も 伊佐

 2023/03/13 21:00
グンバイトンボ(江平憲二さん提供)
グンバイトンボ(江平憲二さん提供)
 鹿児島県内では伊佐市の羽月川支流だけで確認されている「グンバイトンボ」の生息地の保全活動があった。鹿児島昆虫同好会(鹿昆)の会員や愛好家10人が土手にツルヨシを移植するなどしてトンボが暮らしやすい環境を整えた。

 グンバイトンボはモノサシトンボ科で、大きさは30ミリ前後。足に相撲で使う軍配のような形をした白い節が見られることから名付けられた。県内では伊佐市の一部でしか生息が確認されておらず、県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。

 生息地は、2022年7月の豪雨災害で土手が崩れ越水したため、県が復旧工事に着手。しかしブロック積みの護岸を整備すれば、グンバイトンボの生息に必要な草むらが減ってしまう。そこで研究者らは貴重なトンボの生息地であることを県側に説明した。

 県は専門家の意見を聞き、護岸の下に草が生えるように盛り土をする、大きな岩を水際に置くなど工事手法に配慮した。工事終了後、草むらがなくなったブロックの護岸際を再生するため、鹿昆の会員らは盛り土部分を耕し、近くから集めてきたイネ科のツルヨシやジュズダマを植えた。

 鹿昆の江平憲治副会長(68)は「この生息地ではピーク時100匹以上確認できたが、現在は20~30匹に減っている。元に近い環境に戻って、トンボが住みやすい環境が整えばいい」と話した。保全活動は5日にあった。