増えすぎた竹を有効活用したい…抽出液で肌に優しい日焼け止め 開発したのは化学研究部の高校生たち

 2023/03/14 15:50
錦江湾高校化学研究部の生徒が商品開発に取り組む竹を使った日焼け止め=鹿児島市の同校
錦江湾高校化学研究部の生徒が商品開発に取り組む竹を使った日焼け止め=鹿児島市の同校
 国のスーパーサイエンススクール(SSH)に指定されている錦江湾高校(鹿児島市)の生徒らが、企業と連携し竹の抽出液を使った日焼け止めの商品開発に取り組んでいる。2月に東京での展示会で試作品を披露するなど作業は順調。2023年度中の完成を目指し、生徒らは「多くの人に手にとってほしい」と口をそろえる。

 開発しているのは化学研究部の7人。竹林面積が日本一の鹿児島県で他の植生を侵害する「竹害」も深刻なことを知った3年の新名(にいな)心さん、寺師明輝(あきら)さん、藤田源紀(げんき)さんが、竹の抽出液を日焼け止めに応用できないかと20年夏から研究を始めた。

 実験の結果、抽出液に紫外線を遮断する効果を持つ成分が含まれることを確認。21年冬、植物由来の化粧品を製造する「ボタニカルファクトリー」(南大隅町)に商品化を依頼した。その後も2年の米澤七海さん、川添美菜さん、西府美音(さいふ・みお)さん、有村心桜(こころ)さんをメンバーに加え、粘り強く研究成果を報告し続けて協力を取り付けた。

 メンバーは「他の日焼け止めとかぶらないものを作りたい」と試作に没頭。環境や肌に優しい自然由来で金属成分を含まず、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤も使わない商品にこだわった。東京であった全国のクリエイターが集まる展示会「NEW ENERGY TOKYO」で初披露。来場者からは「発売したら買いたい」との声を多くもらったという。

 3年生3人は2月末で高校を卒業。後輩4人が思いをつなぐ。4人は「商品化を心待ちにしている人たちの期待に応えられるように頑張りたい」と意気込んでいる。