県の支援が対象外だから…鹿児島市独自に不妊治療助成 年間5万円上限、年齢に条件

 2023/03/16 11:50
 鹿児島市は2023年度、不妊治療への助成を始める。22年度から公的保険の適用範囲が広がったのを機に国の助成が終了し、自己負担額が増えるケースがあることを受けた。鹿児島市民は県の新年度助成事業の対象とならないため、市が独自の支援策でカバーする。新年度当初予算案に6939万円を計上した。

 助成対象は、事実婚を含め、どちらか一方でも市内に在住する夫婦。保険適用の検査や治療に対し、年間5万円を上限に自己負担の半額を助成する。治療開始時に女性が43歳未満であることが条件。

 不妊治療は本年度、原則3割負担の保険適用となったのと同時に、最大30万円の国の助成が廃止された。そのため全額自己負担の先進医療などを受けると、自己負担額が増える事例が発生している。

 県の助成は保険診療と併用した先進医療が対象。県子育て支援課の久保稔隆課長は、鹿児島市民が対象外であることについて「これまでの相談業務と支援は切り離せないため、県が管轄する保健所の地域住民を対象とした」と説明した。

 市母子保健課の前野律江課長は「先進医療を受ける人も含め、これまで不妊治療に踏み出せなかった人や、若い世代が治療を始める後押しになれば」と述べた。県に対しては、「今後も県内市町村と同様に鹿児島市民も対象とするよう強く要請していく」とした。

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