横断歩道のない市道を渡る児童と保護者 学校は迂回路を推奨、でも「もっと危ない」の声が

 2023/03/17 08:30
下校時、車が途切れるのを待って横断歩道のない市道を渡る児童と保護者=16日午後3時20分、鹿児島市星ケ峯4丁目
下校時、車が途切れるのを待って横断歩道のない市道を渡る児童と保護者=16日午後3時20分、鹿児島市星ケ峯4丁目
 横断歩道のない市道を保護者の先導で児童が渡る通学路が鹿児島市の星峯西小学校区にある。朝は車や路線バスが行き交い、安全上問題がありそうだ。学校は横断歩道がある迂回(うかい)路を推奨するが、保護者からは「迂回路の方がもっと危ない」と切実な声が上がる。

 午前7時25分ごろ、車が途切れるのを確認した児童と保護者が足早に市道を横切った。星ケ峯4丁目の片側1車線で坂の頂上付近。周囲に横断歩道はない。

 2018年に造成されたサザンヒルズ星ケ峯に住む児童約10人が登下校時に横断する。登校時は、渡った先に整備された広めの歩道が市道沿いに延びる。保護者は「市道を渡りさえすれば安全」と週替わりで担当を決め同伴横断している。

 多くの住民が横断歩道設置を求めている。県警交通規制課は「坂の頂上にあり、ドライバーが歩行者に気付きづらいうえ、バス停があることでバスが止まると横断時の死角になる」と説明。実現は難しいとの見方を示す。

 22年度に学校や市教育委員会、県警が実施した合同点検で「児童が横断する際に危険」と対策が必要な箇所に挙がった。現状は高齢者や足の不自由な人、犬を連れて散歩する人も横切る。バス待ちをしていた女性(65)は「バスを使って勤め先や市街地に行く人は多く、渡らざるを得ない」と明かす。

 迂回路は上り下りのある坂道だ。合同点検後、学校は交通安全教室を開くなど対策を講じたが、サザンヒルズ星ケ峯に住む子どもたちは誰も通らない。

 小学1年の子どもがいる岩切絵美さん(39)は「道幅が狭く、路側帯もない。郊外への抜け道にも利用され、重いランドセルを背負って急な坂道を歩かせるのは危険」と訴える。

 サザンヒルズ星ケ峯には21世帯が暮らし、大半が子育て世代。未就学児を含め約40人の子どもがいる。岩切さんは「今後、小学生に上がる子どもたちが増える。横断歩道の設置が難しいのなら、児童が渡ることを知らせる看板や、スピードを落とすよう促す道路標示を設けてほしい」と望んだ。

(南日本新聞×KTS合同企画「通学路安全ですか」より)

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