物価高騰で苦境、市役所の新庁舎計画 規模縮小しても事業費1.4倍 45億円から60~65億円に膨らむ 南九州市

 2023/03/17 11:21
南九州市新庁舎全体のイメージ図(基本設計書から)
南九州市新庁舎全体のイメージ図(基本設計書から)
 鹿児島県南九州市の新庁舎建設計画が、物価高騰の影響で苦境に立たされている。今月まとまった基本設計で、総事業費が基本構想・基本計画段階の約1.4倍に膨れ上がり、建設工事費の増額など事業計画の見直しを余儀なくされている。

 新庁舎は、同市知覧町郡の市有地約2万9350平方メートルの敷地に建設し、頴娃、知覧、川辺の3庁舎に分散している課を集約する。2026年春の開庁を目指し、23年度に敷地造成、24年度に庁舎建設開始を予定している。

 22年2月にできた基本計画では、鉄骨3階、延べ床面積7000~7500平方メートルの建物などで総事業費約45億円としていた。その後の基本設計づくりでは資材などの高騰を見込み、延べ床面積を約6580平方メートルに縮小するなど規模を見直したが、総事業費は60億~65億円とはじき出された。

 事業費の財源には、市が独自に積み立てた庁舎建設整備基金約9億3000万円(22年度末見込み)と、返済が有利とされる合併推進債や各種補助金を検討している。

 市議会一般質問でも、事業費の増大による財源確保や市債の増加を懸念する声が出された。市側は基金積立額を増やすなど年度ごとの対応で可能としている。

 塗木弘幸市長は「厳しい状況にあり、必要最小限の面積とした。ただ、将来の市政を考えると達成すべき事業。市民に丁寧に説明し、引き続き取り組んでいく」と述べた。

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