護岸工事反対派の座り込み続く嘉徳海岸 地裁の請求棄却から1カ月後も状況変わらず 鹿児島県「23年度中の完成困難」
2023/03/18 08:30

護岸の早期完成を求める住民らの看板=瀬戸内町嘉徳
嘉徳海岸は14年の台風で砂浜が集落近くまで浸食された。対策で県は全長530メートルの護岸を当初計画したが、環境への影響を懸念する住民の声を受け、高さ約6メートル、全長180メートルに規模を縮小した。事業費は約3億4000万円。
19年3月に着工し、反対する住民らは、砂浜の回復が続いており護岸は必要ないとして県を提訴。一帯は世界遺産地域を効果的に保全するための緩衝地帯で、反対の声は移住者や県外を含む集落外の住民に多く、工事現場にも詰めかけて中断が続いていた。
嘉徳集落では、棄却判決後も数人が平日の朝から夕方まで工事現場前のゲート付近に待機して、工事に動きがないか見張りを続ける。原告の一人で住民の武久美さん(47)は「裁判では浜の現状をしっかり理解してもらえたのか疑問」と指摘。「県は賛成反対の双方が話し合える場を設けてほしい」と訴える。
一方、工事を求める住民らは、瀬戸内町議会に護岸の早期完成を求める請願を提出し、採択された。長年集落に暮らす栄茂男さん(73)は「土地や墓を守り、住民の不安を解消するためには護岸が必要」と強調。「司法の判断も出て、議会でも民意が示された。それでも工事が進まず歯がゆい」と話した。
県河川課は「現場での説得を続ける」とするものの、協議の場を設ける考えには否定的。中断の影響で、現場のフェンスや仮設を管理する契約を業者と別途結び、3月末までの3カ月間で毎月十数万円の費用が発生したと明かす。新年度以降もこの契約を更新するという。
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