ご近所が、親戚が、通りすがりの会社員も連携…炎の民家から独居老人を救出、「命のリレー」6人に感謝状

 2023/03/17 20:54
人命救助で感謝状を受けた眞田美津代さん(前列左)、長田新一郎さん(同左から3人目)ら6人=10日、南種子町研修センター
人命救助で感謝状を受けた眞田美津代さん(前列左)、長田新一郎さん(同左から3人目)ら6人=10日、南種子町研修センター
 鹿児島県南種子町平山で起きた住家火災で人命救助に尽力したとして、近くの無職長田新一郎さん(74)や町社会福祉協議会の眞田美津代さん(61)ら6人が、熊毛地区消防組合から感謝状を贈られた。火の手が広がる前に1人暮らしの60代男性を救出。連携して119番通報や救急車への引き渡しを担った。長田さんは「行動が少しでも遅れたら危なかった。命が助かってよかった」と当時を振り返った。

 火災は昨年12月の日中に発生。男性は体が不自由で、ケアマネジャーの眞田さんに電話で助けを求めた。眞田さんは付き合いのあった長田さんに連絡。長田さんが木造平屋の男性宅へ行き、玄関を開けると既に仏間は火に包まれていた。

 中であおむけに倒れている男性を発見。右腕を引っ張るようにして屋外に運び出した。「中に入るのを一瞬ためらうほど火が間近に迫っていた」と、自身も頭部や手、足にやけどを負いながらの必死の救出だった。

 近くに住む長田さんの親戚や通りがかった会社員も加勢し、消防に現状を報告しながら男性を安全な場所に移動させた。住家は全焼。男性は腕などのやけどで現在も入院治療中だが、命に別条はない。現場に駆けつけた眞田さんは「担当の家だけでなく、地域とつながりを持つ大切さを改めて感じた」という。

 感謝状贈呈は3月10日、町研修センターであり、ほかに長田さんの親戚の長田隆幸さん(73)喜代美さん(73)夫婦と長田隆志さん(66)、西之表市西之表の会社員関智広さん(48)が受け取った。消防・南種子分遣所の島崎博人所長(58)は「日頃から連絡を取り合っていた結果。2次災害に気をつけて、できることをやってもらえれば」と話した。