自販機荒らし重ね関東から鹿児島へ 男2人、仕事から窃盗の「パートナー」へ…きっかけはワル仲間に借りた5万円

 2023/03/19 08:30
人通りの少ない場所、時間帯を狙い、自販機荒らしを繰り返した(本文と写真は関係ありません)
人通りの少ない場所、時間帯を狙い、自販機荒らしを繰り返した(本文と写真は関係ありません)
 自動販売機を壊し、現金を盗んだとして、20代の男2人が器物損壊と窃盗、窃盗未遂の罪に問われた。関東から南下しながら20件余の犯行を自供。行き着いた鹿児島で逮捕された。きっかけは5万円の借金だった。

 2022年春、2人は関東にあるイベント会社で仕事のパートナーとして知り合う。同い年であり意気投合。つるむようになった。

 小太りの男は「相方」と呼んで慕い、金髪の男に「家賃が払えない」と相談。金髪の男はかつての「ワル仲間」から5万円を工面した。返済期限になると2万円を上乗せされ、返せないと催促はエスカレート。取り立てを逃れるため、2人は関東を離れた。

 「鹿児島に知人がいる。助けてもらおう」。金髪の男の発案で南下した。車中泊でしのいだが、金が尽き、鹿児島の知人とも音信不通になった。金髪の男が自販機荒らしを持ちかけた。

 10代の頃にやったことがあり熟知していた。小太りの男が見張り役をし、人が近づくとすぐに知らせ、数万円を手に入れた。岐阜県の寺院などで犯行を重ねながら南下。盗んだ金はガソリン代や食費に充てた。

 鹿児島に着いた2人は7月下旬、南九州市の自販機から約2万円を盗む。朝方の犯行とはいえ、県道を走る車から丸見えの場所。その日深夜には枕崎市漁協施設内の自販機を狙った。情報を得て警戒していた警察官にその場で逮捕された。

 仕事だけでなく、犯罪でもコンビを組んだ2人は法廷では一転、目を合わそうとしなかった。一方が金の相談をし、もう一方が応じた末の窃盗行脚。親しかっただけに、互いに負い目を感じているようにも見えた。

 被告人質問で金髪の男は「お金のあっせんではなく、別の仕事を紹介すればよかった」と語った。目は充血していた。「互いのために縁を切った方がいい」「連絡が来ても無視する」。2人は関係を断ち切ることを誓った。

 1月24日の判決で裁判官は求刑通り懲役2年6月を言い渡した。「社会の内で更生の機会を与えるべきだ」と執行猶予4年と保護観察を付けた。「二度と犯罪をしないように」と諭された2人は「はい」と口をそろえたものの、目を合わすことは最後までなかった。

 22年に県警が認知した自販機を狙った窃盗は26件。70件を超えた年もあり、減少傾向にあるが、依然後を絶たない。