吉本興業「住みます芸人」が独居老人多い故郷で「届けるパン屋」に 1年間修行、亡き祖母宅を工房に改装中「買い物難民に笑顔を」

 2023/03/19 15:40
「日用品とパンを届ける店」の計画について話す仮屋竹洋さん=鹿児島市の南日本新聞社
「日用品とパンを届ける店」の計画について話す仮屋竹洋さん=鹿児島市の南日本新聞社
 吉本興業の「住みます芸人」として鹿児島県肝付町を中心に活動する仮屋竹洋さん(36)が「配達もするパン屋」開業へ奔走している。買い物難民の高齢者に「手作りパンと日用品、笑顔を届けたい」と今夏のオープンを目指す。

 同町出身で、東京の吉本新喜劇などで活動。2018年に故郷に拠点を移したところ、高齢化や空き家・独居老人の多さに驚いた。大好きな祖母が認知症になっていたのをきっかけに介護について勉強。認知症に「明るく向き合う」をテーマに講演会などを開いている。

 講座に参加した高齢者らとは文通でも交流。その中で「買い物に行く手段がない」「パンが好きで夕食にも食べる」という実態を知り、配達する仕組みを思い立った。

 鹿児島市内のパン店で1年間修業し、昨年末に亡くなった町内の祖母宅を工房に改装中。敷地内に販売と交流の場として新たにログハウスも設ける計画で、4月までクラウドファンディングを実施している。

 芸人の仕事と並行し、個人事業主として軌道に乗せることを目指す。「町外で暮らす子どもさんたちが購入できる“親孝行プラン”もつくりたい」と仮屋さん。「誰も独りぼっちにしない。お年寄りの仲間として心の距離を詰めたい」と意気込む。