希望は親族、選ばれたのは面識ない司法書士…これでいいのか成年後見制度? 選任は家裁の裁量、途中変更もできず
2023/03/20 11:03

面識のない司法書士の名前が記載された書面を見る鹿屋市の男性(画像は一部加工しています)
同制度は本人に代わって通帳管理や病院費用、福祉サービスの支払いなどを代行する。2000年に始まり、県内は約3350人(21年末時点)が利用している。21年は496人が後見人に選ばれ、親族127人に対し、弁護士や司法書士などの第三者が74%の369人を占めた。着服など親族の不正を防ぐため、弁護士ら専門職が選ばれるケースが全国的に増えている。
鹿屋市の男性(72)は22年9月、意思疎通が難しい義姉の後見人に義姉の長男を申し立てた。
長男を交えた面談などを経た数週間後、家裁から届いた書面には司法書士の名前が記されていた。長男が選ばれなかった理由の記載はなく「どんな人か分からないし費用面も心配」と困惑。「親族が選ばれないなら申し立てなかった。着服のリスクは専門職も変わらないのではないか。年金生活では払える報酬に限度があり、報酬を確認して利用できるようにすべきだ」と制度の問題点を指摘する。
後見は無事始まり「いい人で安心した」と話すが、家裁から報酬に関する説明は今もなく、司法書士から支払い請求もないという。
家裁は報酬に基準を設けておらず、鹿児島市成年後見センターによると、管理する財産が1000万円以下の場合、月1〜2万円が相場。本人や親族の意向と「ミスマッチ」があっても一度選ばれた後見人は生涯替えられず、使い勝手の悪さを指摘する声は多い。
政府は22年、利用者や親族からの不満を受け、制度の大幅見直しに乗り出した。後見人を必要な時だけ使えるようにするほか、親族への交代を可能とする方向だ。だが、民法改正を伴うため、実現には時間がかかるとされる。
制度の課題を踏まえ、鹿児島市は21年、推進協議会を設置し、22年10月から調整会議を毎月開いている。利用者の性格や資産状況を反映した「マッチングシート」を基に弁護士ら専門職団体が後見人として適した人物を選ぶ。さらに、ミスマッチがないよう利用者と面会してから家裁に推薦している。親族不在で市が申立人になる場合など対象者に条件を設けているが、既に2人の後見が決まった。
市認知症支援室の野口幹室長は「法改正以外に自治体でできることを進めている。成年後見はあくまで本人の福祉のための制度」と述べ、仕組みや特徴を理解した上で申し立てるよう求めた。
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