世界遺産「寺山炭窯跡」の石積み また崩れる 復旧工事終えたばかり、原因不明 鹿児島市

 2023/03/21 10:00
石積みが崩れた寺山炭窯跡=19日、鹿児島市吉野町(鹿児島市教育委員会提供)
石積みが崩れた寺山炭窯跡=19日、鹿児島市吉野町(鹿児島市教育委員会提供)
 鹿児島市教育委員会は20日、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を構成する寺山炭窯跡(吉野町)の石積みが18日未明、縦横各3メートルにわたって崩落したと発表した。2019年夏の大雨でほぼ全壊し、今年3月17日に復旧工事を終えたばかりだった。同日夜から雨が降っていたものの原因は不明。市教委は4月上旬に復元後の姿を公開する予定だったが、時期は未定としている。

 文化財課によると、崩落したのは窯口左側の石積み。石の大きさは縦30センチ、横40センチほど。工事関係者が19日午前、現地確認を行った際、崩落を確認した。炭窯前に設置する定点カメラでは18日午前4時35~40分の間に崩れた。

 寺山炭窯跡は19年6月28日、大雨で本体右側の石積みが崩落。同7月1日には土砂崩れが発生し炭窯の大半が埋没した。市は周辺斜面地の復旧を経て、22年8月に本体の再現工事に着手した。165年前の石積みを再現し、石の固定などはしていないという。総事業費は約5000万円。

 文化財課の圖師みゆき課長は「再び崩落する可能性があり、工法の検討に時間がかかる。まずは原因を究明したい」と話した。

 寺山炭窯は薩摩藩が集成館事業の燃料に使う木炭を製造するため1858年に築造した大型炭窯。「旧集成館」に追加される形で国史跡に指定され、2015年に世界文化遺産に登録された。

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