「次はアヤ子さんの番だ」 大崎事件の支援者ら「袴田事件」の波及に期待

 2023/03/20 21:41
原口アヤ子さん
原口アヤ子さん
 袴田巌さん(87)の再審請求で検察側が特別抗告を断念した20日、鹿児島県大崎町で1979年に男性の変死体が見つかった「大崎事件」の弁護団や支援者は「司法の歴史が動く出来事だ。大崎にも追い風になる」と歓迎した。

 大崎事件では、殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(95)が一貫して無罪を主張。第1、3次の再審請求で計3回の開始決定が出たが、いずれも検察側が抗告して取り消された。第4次請求は地裁が棄却し、高裁支部で審理中。

 弁護団の鴨志田祐美事務局長は「大崎事件の現在の審理と同じ高裁のステージから再審開始になる意義は大きい」と波及効果に期待した。森雅美団長は「袴田さんも原口さんも、一度でも再審開始が判断されたのはよほどのことだ。抗告できないよう法改正が必要。今後も断念する流れが定着してほしい」と話した。

 両事件の署名活動を展開する日本国民救援会鹿児島県本部の野元幸一事務局長は「やっとという思いだ。抗告が繰り返され、審理が長期化した」と検察側を批判。原口さんを長年支援し、袴田さんの姉・ひで子さん(90)と交流を続ける串間市の武田佐俊さん(79)は「100歳まで闘うと言っていたひで子さんに朗報が届いてよかった。次はアヤ子さんの番だ」と力を込めた。