窓口3時間待ち解消へデジタル化推進に20億円 目指すは「庁舎に来なくて済む役所」だが…「郵送8割」が市民の実態
2023/03/21 11:38

住民異動届などの手続きで掲示された120分待ちの表示=20日、鹿児島市役所
小倉和代課長は「忙しい年度末に長時間待たせてしまうことが申し訳ない」と顔を曇らせる。
■総額20億円
こうした現状を改善するため、市は2023年度、市民の利便性向上と行政サービスの効率化に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に本腰を入れる。20日成立した一般会計当初予算に総額20億円を計上した。
保育料や水道料金などの口座振替をインターネットで受け付けるシステムの導入に2524万円を盛り込んだ。これまで窓口や郵送で手続きしなければならなかったが、下鶴隆央市長がマニフェスト(政策綱領)に掲げる「庁舎に来なくても済む役所」に一歩近づくことになる。
マイナンバーカードを活用し、住民票の申請や公共施設の予約などができる基盤の構築には1億7184万円を充てた。近い将来、一つのID(個人識別情報)で市のさまざまなデジタルサービスが利用可能になるのを目指す。
保育所の申請業務を一括管理したり、救急現場でスマートフォンの映像を共有したりするシステムなど、喫緊の課題である待機児童対策や命を守る取り組みにも積極的に情報通信技術(ICT)を活用する。
市のDX化は、情報技術(IT)に詳しい下鶴市長が20年に就任したことで加速した。21年10月にはICTに詳しい情報統括部門補佐官(CIO補佐官)を民間から起用し、DX推進計画を作成。22年度は庁内で実現に向けた協議を進め、23年度取り組みを本格化させる。
2月14日の会見で下鶴市長は、「これまで2年間仕込んできたものが少しずつ形になり、実りの3年目を迎える」と強調した。
■郵送8割近く
DX化は順調に進んでいるように見えるが、恩恵を受けるにはスマホなどの機器を使いこなせることが前提となる。16歳から80歳未満を対象とした市の20年度抽出調査によると、世帯で少なくとも1人がスマホを所有する割合は8割。過去1年間、一家の全員がインターネットを利用したことがない世帯は1割に上る。
市が昨年11~12月に実施した1万円分のレシートで3000円の商品券を支給する事業は、郵送かオンラインで申請を受け付けた。郵送は8割近くで、オンラインの手続きが普及していない実態が浮き彫りになった。
庁内のDX化を担うデジタル戦略推進課の上園正人課長は、「高齢者を中心にデジタルデバイド(情報格差)が広がる恐れがある」と懸念する。市は22年度、市内全域の公民館などでスマホ講座を約140回開いた。23年度も内容のレベル分けをして継続する。
「DX化と並行して、スマホの利用を促進する下支えを進めなければならない」と上園課長。デジタル弱者を取り残さない配慮と支援が求められる。
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