残るは全国4カ所のみ 「文弥節人形浄瑠璃」を児童伝承 都城・山之口で3年ぶり公開上演

 2023/03/22 07:30
哀愁を帯びた独特の節回しに合わせ、巧みに人形を操る麓小学校の児童ら=12日、都城市山之口町の山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館
哀愁を帯びた独特の節回しに合わせ、巧みに人形を操る麓小学校の児童ら=12日、都城市山之口町の山之口麓文弥節人形浄瑠璃資料館
 宮崎県都城市山之口町の国指定重要無形民俗文化財「山之口麓文弥節(ぶんやぶし)人形浄瑠璃」資料館で、近くの麓小学校5、6年生による「出世景清(かげきよ)・大仏殿普請の段」(近松門左衛門作)が上演された。同小の伝承活動の一環で、約10カ月に及ぶ練習の成果を披露した。

 江戸時代に大阪で始まったとされる文弥節が伝承されているのは、同市や薩摩川内市東郷など全国4カ所のみ。伝統を残そうと同小は約30年前から年1度の上演を続けており、今回は5、6年生13人が月2~3回の練習を重ねてきた。

 「大仏殿普請の段」は、平氏の景清が大工になりすまし源氏の家臣を討とうとする物語で、激しい格闘シーンが見どころ。12日、児童らは人形の首や腕を巧みに操り躍動感を表現、哀愁を帯びた独特の節回しの語り部も担当した。

 新型コロナウイルスの影響により公開上演は3年ぶりで、200人以上が鑑賞した。景清担当の6年下園大翔君は「人が多く緊張したけど、語り部にあわせたメリハリある動きができて楽しかった。この地域の宝を後輩にもつないでいきたい」と話した。