「忙しかったから」障害支援区分認定の2次判定怠る 湧水町が54人分99件

 2023/03/23 07:10
 鹿児島県湧水町は22日、障害者の福祉サービスの必要度を6段階で示す「障害支援区分」の認定作業で、2011~19年度の9年間にわたり54人分99件について必要な手続きを怠っていたことを明らかにした。コンピューターによる1次判定の後、専門家らによる2次判定をしていなかった。町は当時の担当職員を22日付で3カ月の停職、上司ら4人を減給10%(1カ月)や戒告処分とした。

 町は「担当職員が忙しさを理由に2次判定を省き、他の職員がチェックをしていなかった」と説明している。

 区分認定は通常、訪問調査や医師の意見書をもとにコンピューターで1次判定した後、医療や福祉の専門家による審査会で2次判定する。

 2次を怠る事案は17年に伊佐市や喜界町で発覚。当時、県から同様の事例に関する報告要請があったが、担当職員が「該当事例はない」と虚偽の報告をしていたという。

 担当者が代わった20年に発覚。21年12月までに再審査を実施したところ、4件の区分が実際より軽かった。町は「受けたいサービスが受けられないなど障害者への影響はなかった」として、本人への説明や謝罪はしていないという。

 町は、医師からの意見書が用意できず「審査不能」となった2件に関し、国や県から配分された負担金約1452万円(12~17年度分)を返納。実際より軽く判定されていた人が利用していた2事業所に、本来なら給付すべきだった計323万円を給付する。

 池上滝一町長は「町政に対する信頼を損ない申し訳ない。複数人での作業や課長によるチェックを強化し再発防止に努める」とコメントした。