所得制限「非常に不利」「児童手当では足りない」…どんな子育て政策を重視する?【九州4紙子育てアンケート】

 2023/03/24 15:00
母親に見守られながらおもちゃで遊ぶ子ども=鹿児島市与次郎1丁目のすこやか子育て交流館
母親に見守られながらおもちゃで遊ぶ子ども=鹿児島市与次郎1丁目のすこやか子育て交流館
 南日本新聞、宮崎日日新聞、熊本日日新聞、西日本新聞の九州4紙による子育て政策についてのアンケートでは、男女問わず幅広い世代が妊娠、出産、育児、教育とライフステージに沿った支援を求めている姿が浮き彫りになった。岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を掲げ、育児休業給付や多子世帯支援拡充を表明したが、少子化傾向の反転は容易ではない。4月のこども家庭庁発足を前に、社会が求めている「切り札」を探る。

 4社アンケートで重視する主な子ども向け政策を尋ねたところ(複数回答)、5割強が「教育費支援」を選んだ。鹿児島県内の回答では、児童手当、医療費助成などが続いた。選んだ理由(自由記述)には、出産や子育てへの不安、政策への不満がにじむ。

 鹿児島市の主婦(42)は「4人出産し子育て中。とにかくお金がかかり、児童手当ではとても足りない」と訴える。同市の元教員男性(68)は「義務教育費は無償だが、教材費や給食費など家庭の出費は大きい。自治体で負担できないか」と提案した。

 高等教育への支援を求める声は多い。「大学進学の奨学金を返済義務なしにしてほしい。地方から首都圏に出ると生活費もかかる。幼少期の支援だけでなく進学の支援を」(同市・教諭、45歳女性)。「子どもに借金背負わせて大学進学させる先進国があるだろうか。誰でも高等教育を受けられるようにすることが少子化の進行を食い止めるのにつながる」(姶良市・会社員、49歳男性)

 高校無償化の所得制限に対する不満も目立った。鹿児島市の女性会社員(45)は「対象外。全ての子どもに無償化の恩恵を」。授業料を全額支払っている薩摩川内市の女性事務職(49)は「下の子は奨学金を借りられない可能性があり、非常に不利。所得が少し低い方がいいのか、子どもがいない方がいいのかと考えてしまう」と明かす。

 教育費以外にも、多様な政策が求められている。不妊治療への助成を挙げた南さつま市のパート女性(72)は「子どもがほしくて何回も不妊治療をしたが、金銭的に厳しくて諦めた人がいる」。薩摩川内市の無職女性(50)は「不妊治療は高額。助成だけでなく、仕事を休める職場環境も必要」。

 障害児への支援拡充を求める声も。鹿児島市の主婦(37)は「子どもに障害があると預け先が見つからない。働きたくても働けない」と訴えた。