川内原発 運転延長の安全性は「適正」 検証結果の報告書案提示 延長可否には踏み込まず 鹿児島県原子力専門委分科会

 2023/03/25 07:29
報道陣の取材に応じる鹿児島県原子力専門委員会分科会の釜江克宏座長=24日、鹿児島市与次郎1丁目
報道陣の取材に応じる鹿児島県原子力専門委員会分科会の釜江克宏座長=24日、鹿児島市与次郎1丁目
 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長を検証する鹿児島県原子力専門委員会分科会が24日、鹿児島市であった。延長の安全性について「適正」と総括する検証結果の報告書案が示され、委員同士が意見交換した。4月までに取りまとめる方向で、次回会合で最終決定する方針。

 報告書案は、釜江克宏座長の了解の下で県事務局がまとめた。延長可否には踏み込まないものの、延長申請に伴い九電が実施した特別点検や劣化状況評価、施設管理方針を「適正」と判断した。各検証項目では、今後の安全性向上に向け留意すべき点があると指摘した。

 原子炉容器では「現在の検査技術に満足することなく、検査方法の高度化などに取り組むことが必要」と注文。燃料のウランが核分裂する際に発生する中性子が照射されることで、金属が本来持つ粘り強さが低下する予測についても、信頼性向上のため知見の拡充などを求める。

 委員からは報告書案の表現や内容を巡り、賛否さまざまな意見が交わされた。会合後の取材で釜江座長は「委員からの意見を受け、ブラッシュアップして次回提示したい」と説明。適正とした総括については「各委員に理解いただけたと思う。大きく変わることはない」と語った。

 分科会は県が2021年12月に設置。原子炉材料工学や地震工学が専門の7人で構成する。今回が11回の会合。

 原発の運転期間は現行制度で原則40年。原子力規制委員会の認可を受ければ最大20年延長できる。川内原発は1号機が24年7月、2号機が25年11月に期限を迎える。九電は22年10月に、20年の運転延長申請を規制委に出した。