3世代で看護師 母から娘、孫へ大切に受け継ぐ「教え」がある 同じ県立病院で勤務

 2023/03/26 20:50
新薩南病院(後方)に期待する福元教子さん(中央)、有薗智子さん(右)、有薗静香さん=南さつま市加世田村原4丁目
新薩南病院(後方)に期待する福元教子さん(中央)、有薗智子さん(右)、有薗静香さん=南さつま市加世田村原4丁目
 移転新築された南さつま市の鹿児島県立薩南病院が5月、開院する。同市加世田津貫の福元教子さん(90)は同病院の元看護師で、娘の有薗智子さん(62)=加世田川畑、孫の有薗静香さん(33)=鹿児島市=も看護師として現在、薩南病院に勤めている。3世代で伝えてきた患者に寄り添う看護の心を新病院へ引き継ぐ。

 教子さんは通算23年、薩南病院に勤務。退職後は入院中のがん患者らでつくる院内の松実会で患者を慰労する活動に関わり、脱毛した患者のための帽子作りの支援もした。自身もがん手術を経験しており「わずかでも励みになれば」と願う。

 教子さんの背中を見て智子さんも同じ道を志した。県職員のため転勤があり、子育て中の単身赴任も「やりがいある仕事」との思いで耐えた。病院移転が決まり「移転業務は大変。役に立ちたい」と退職後も再任用で通算32年目に入った。

 家庭の時間が少なかった母・智子さんの苦労を知る静香さんは「看護師は嫌」と思っていた。小学生の時に同病院を受診して母が働く姿を初めて見て、職務の貴さを感じた。同病院は5年半。祖母と母が赴任した県立大島病院でも働いた。

 「患者の心を開いて対話する」。3世代同じ病院に勤めたのは偶然だが、教子さんの教えを智子さんと静香さんは守ってきた。診療科目が増え、地域医療を幅広くカバーする新病院に3人の期待は大きい。

 静香さんは「医療は近代化しても祖母から聞く昔の人情味ある看護の話は胸に響く。心得として大切にしたい」と話した。

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