250億円かかる新体育館計画なのに…論戦が低調 賛成派は話題にしたくない?【鹿児島県議選4月9日投開票】

 2023/03/28 07:30
鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)=1月12日、鹿児島市(本社チャーター機から撮影)
鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)=1月12日、鹿児島市(本社チャーター機から撮影)
 31日告示、4月9日投開票の鹿児島県議選が迫り、各陣営は新型コロナウイルス禍後の経済対策や子育て支援といった政策論争の準備に余念がない。だが、県が鹿児島市のドルフィンポート(DP)跡地で計画している新総合体育館(スポーツ・コンベンションセンター)整備や鹿児島港本港区の街づくりに関しては、これまで議会で繰り広げてきた熱気ある議論から一転、トーンダウンしている。

 選挙戦を前に新体育館や本港区の話題を持ち出すのは、鹿児島市・鹿児島郡区の立候補予定者のうち、本港区への体育館整備反対派がメイン。賛成派の立候補予定者は、問題提起に及び腰とみられる。

 有権者は、論戦が少なくなることに危機感を抱く。DP跡地への体育館整備に反対するNPO法人の坂口修一郎監事(51)は「自民中心の県議会が建設を容認し、争点化しにくいのではないか」とにらむ。「本港区をどう活用したいのか、県のビジョンは感じられない。立候補予定者が250億円もかかる体育館整備事業に関心を持たないのは不思議」と積極的な発信を求めた。

 県屋内スポーツ競技団体(18競技)の増留貴朗代表世話人(84)はDP跡地への体育館整備賛成派。「これまで経済効果ばかりに注目が集まってきた。教育施設という観点からも議論を深めてほしい」と論戦に期待を寄せる。一方で、「サッカー等スタジアム問題を抱える市議から支援をもらう立候補予定者もいる」と語り、論点にしづらい立場をおもんぱかった。

 鹿児島市以外の選挙区では、関心度が一層低い。県北部のある立候補予定者は「体育館や本港区の話題にピンときていない人が多い印象。子育て支援やコロナ後の経済浮揚が主な争点になっている」とこぼした。

 スポーツ施設、会議場、景観を生かした観光振興、芸術…。さまざまな活用の可能性がある本港区問題を議論する絶好の機会となる今回の選挙。各立候補予定者が何を語るか、注目される。