ライバル蔵元6社が連携 山梨ワインにならった新たな「焼酎ツーリズム」に期待高まる
2023/03/28 09:20

焼酎蔵の中で仕込みの工程を説明する杜氏=2月25日、日置市の西酒造
「香りがすごい」「ずっと来たかった」-。イベント当日、それぞれの蔵で、参加者の驚きや喜びの声が上がった。
焼酎ツーリズムは山梨県で人気の「ワインツーリズム」を参考に、両市のメーカーと地域住民らの実行委員会が企画、運営した。伊集院、市来の両駅と6社を巡回するバスを走らせ、130人の参加者は自由に乗り降りして蔵を訪ねた。蔵元ごとに試飲や利き酒を準備しており、杜氏(とうじ)らが工程やこだわりを説明した。
6社は規模も特色もさまざまのライバル同士。手を取り合ったのは、焼酎離れという共通の危機感があるためだ。
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2021酒造年度(21年7月~22年6月)の県産本格焼酎出荷量は、約9万2000キロリットルと9年連続の減少。焼酎ブームだった06年の6割弱にとどまる。人口減少や消費者の好みの変化に、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけた。
現状打開のため、県酒造組合が22年度に力を入れたのが消費者との交流。3地区で蔵巡りを旅行に組み込む事業を実施した。一般的なバスツアーの2地区とは趣を異にしたのが、このツーリズムだった。
「テロワールの観点で焼酎の魅力を伝えたい」。組合の田中完専務理事が狙いに挙げたテロワールは、産地や気候を意味するワインの特徴。「焼酎のふるさとを訪ねてもらい、品質の良さを伝え、消費へいざないたい」と熱を込めた。
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ツーリズムの参加料は7700円。バス運賃を含み、ガイドブックやグラスなどが付く。「バスだから心置きなく試飲できる」などと参加者の満足度はおおむね高く、鹿児島市の会社員、山崎樹さん(30)も「背景やこだわりを知り日ごろ飲んでいる焼酎の印象が変わった」。
参加者の4割が関東、関西など県外からというのも特徴。東京の男性2人連れは「好きな焼酎の作り手に話が聞けて、うれしい」と笑顔。満足したのは蔵元側も同様で、田崎酒造(いちき串木野市)の製造担当、関本真也さん(29)は初めて消費者と接し、「うちの蔵や焼酎について知ってもらえた」と手応えを語る。
実行委は3月23日のオンライン報告会で、約6割が宿泊を絡めた参加だったと明らかにした。昼食や土産購入での周辺店舗利用も多く、一定の経済効果があったといえそうだ。小林史和代表(44)=いちき串木野市=は「各蔵元の若手社員が一丸となる姿に焼酎の未来が見えた」と述べ、今後の県内各地への拡大に期待した。
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