イプシロン、H3 失敗続いても…「ネバーギブアップ」「苦難の後には必ず花が」 ロケット発射場の地元、JAXA職員にエール 800人メッセージの横断幕贈る 鹿児島・肝付町

 2023/03/28 11:51
応援メッセージが書かれた横断幕をJAXAに届ける肝付町関係者ら=27日、東京・御茶ノ水
応援メッセージが書かれた横断幕をJAXAに届ける肝付町関係者ら=27日、東京・御茶ノ水
 内之浦宇宙空間観測所のある鹿児島県肝付町の住民らが27日、東京都内の宇宙航空研究開発機構(JAXA)を訪れ、地元支援団体や児童生徒ら800人が書いた応援メッセージを届けた。鹿児島から打ち上げた国産ロケットの失敗が続く中、「宇宙開発を地元から支えたい」との思いを込めた。

 同観測所から昨年発射されたイプシロンに続き、今月は種子島から打ち上げた新型ロケット「H3」も失敗。開発を担うJAXA職員を励まそうと、町内各方面から声が上がった。

 町が縦1メートル、横1.5メートルの横断幕5枚を準備。町内外約800人が「気張れ」「ネバーギブアップ」「不可能はない」「臥薪嘗胆」「日本の未来に光を」「苦難の後には必ず花が咲く」など心のこもったエールをつづった。

 非公開で行われた贈呈式には、横山伸一・商工会長らに交じり、的川泰宣・JAXA名誉教授も同行した。永野和行町長が「町民は心一つで応援している」と説明。山川宏理事長は自身の内之浦での活動経験を振り返り「職員は前向きに頑張っている」と目を潤ませながら感謝したという。

 日本初の人工衛星「おおすみ」成功につながった1960年代の4回の打ち上げ失敗では、観測所に対する批判が全国から相次いだ。以降、成功を祈る千羽鶴をJAXAに届け続ける町地域女性団体連絡協議会(旧内之浦町婦人会)の切通芳江会長(66)は「これからも寄り添う気持ちを大切にしていく」と話した。

 横断幕はロケット開発チームの手元まで届けられる予定。