火災・救急現場への到着時間11分を「有効活用」 通報者のスマホと動画共有、迅速対応へ 大隅肝属地区消防組合

 2023/03/28 16:32
映像通報を実演する職員=鹿屋市新川町の大隅肝属地区消防組合
映像通報を実演する職員=鹿屋市新川町の大隅肝属地区消防組合
 大隅肝属地区消防組合(本部・鹿児島県鹿屋市)は、通報者とビデオ通話でやりとりする「映像通報システム」を3月から試験運用している。火災や救急現場の状況を素早く正確に把握する目的で、5月からの本格運用を見込む。管内の平均的な現場到着時間は約11分で、担当者は「現場到着までの時間をより有効活用できる」と期待を寄せる。

 119番を受けた本部の指令員は、必要に応じてスマホで動画を共有するURLを通報者に知らせる。急病人やけが人のライブ映像を見ながら心肺蘇生方法を指示することもできる。今年4月の運用開始に向けて準備している宮崎県の都城市消防局を昨年視察し、導入を決断したという。県内では鹿児島市が今年10月から本格運用する。

 鹿屋市と東串良、肝付、錦江、南大隅の4町をカバーする管内は複雑な山道が多く、現着時間は全国平均の約9分より2分遅い。同組合警防課の石塚正太救急係長(41)は「リアルタイムの映像を見ることで、必要人員の増減やドクターヘリの要請をより迅速に判断できる」と話す。

 指令課職員は「実際に要救助者の呼吸の有無を確認するのに役立っている」とし、石塚救急係長は「地域住民の理解が何よりも重要。スマホの使い方を含め、広報誌などを活用して情報発信していきたい」と話した。