日本の性教育「大事な部分が欠落」 性的同意って何…? 障害ある若者は「月1講義」に学ぶ

 2023/04/02 11:00
性的同意について学ぶ学生たち=鹿児島市のユーススコラ鹿児島
性的同意について学ぶ学生たち=鹿児島市のユーススコラ鹿児島
 特別支援学校高等部を卒業した若者らが学ぶ「ユーススコラ鹿児島」(鹿児島市)の学生は「性的同意とは何か」を授業で考え、自分や他人を大切にするすべを学んでいる。政府は強制性交罪から不同意性交罪へ名称変更する刑法などの改正案を決めたが、小中高の学習指導要領に性的同意の記載はない。性犯罪の当事者を支援する県内関係者は、社会の認識や教育の仕組みを変える必要性を訴える。

 「ハグしたい時、相手が何も言わない場合、同意はある?」。3月中旬、性教育の講義で講師に問われた学生は「違う」と答えた。同校が、月1回の「性教育の日」を設けて3年になる。

 この日の授業では、誰かと一緒に出かけたい時や食事をしたい時に相手の気持ちを確かめる大切さを確認。性的な行為も「互いの気持ちが大事。同じ気持ちでない時は性的同意はない。嫌な時は『嫌だ』と伝えよう」と念を押した。

 学生は「具体的で分かりやすい」「繰り返し教えてくれるからありがたい」と満足げ。西園健三学園長(61)は「学生たちの性を学ぶ権利を守るため、環境を整えたい」と話した。

 中学の学習指導要領では「妊娠の経過を取り扱わない」と事実上の歯止め規定もある。文科省は「個別指導はできる」としているが、授業で取り上げづらいのが現状だ。

 子どもの性の悩みを受けるチャイルドラインかごしま代表で、学校現場で性教育を展開する思春期保健相談士の山崎眞子さん(50)は「日本の性教育は、国際的な指針と比べ、大事な性交の部分が抜け落ちている。同意・不同意や性交・避妊についてしっかり学校で教える必要がある」と強調。「同意とは何か」を知ることは、被害と加害の両方を生まないことにつながるとし、「正しい知識を学んで、自分で判断できるようにすることが大切だ」と警鐘を鳴らす。