原発の話題はタブー? 「票を失うかも…」運転延長の賛否、地元候補だんまり【鹿児島県議選 薩摩川内市区】
2023/04/02 07:30

九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)
「今回の選挙を機に原発の将来をしっかり考えたかったのに」。川内原発から10キロ圏に住む40代会社員女性は、原発問題を避けているように見える候補たちに不満を募らせた。
2011年3月の東京電力福島第1原発事故以降、「あるのが当たり前」だった川内原発に怖さを感じる。ただ夫の周りでは原発関係の仕事をしている人が多く、夫婦間でも原発が話題に上ることはない。「家庭でも選挙でも原発はタブー視されている」
現行制度では1号機が24年7月、2号機が25年11月に原則40年の運転期限を迎える。九電は22年10月、20年の運転延長を原子力規制委員会に申請した。
県原子力専門委員会分科会も今年3月、延長の安全性について「適正」と総括する報告書案を提示し、検証は最終段階に入った。県は専門委の答申を踏まえ、延長問題に対する考えを取りまとめる方針だ。
運転延長に向けた動きが進む一方、各候補の口は重い。告示1週間前の3月24日、川内青年会議所は、今回立候補した6人の公開討論会をオンラインで開いた。青年団体や高校生に事前アンケートを実施し、関心の高かった上位5項目を議題に設定。江畑敬介理事長(38)は「選択肢に原発も入っていたが、他のテーマへの関心が上回った」と話す。
会の終盤、取り組みたい重点課題の自由発言で原発を挙げたのは2人。いずれも運転延長の賛否には触れなかった。
ある陣営関係者は「賛否をぼかさなければ、一方の票を失ってしまうという怖さがある」と説明し、続けた。「原発に不安を感じている市民の思いまで十分に拾いきれているかは分からない」
福島の事故から12年。市民の意識の変化を指摘する声も上がる。薩摩川内市宮崎町の長屋勲さん(87)は語る。「選挙で各候補の原発の考えを聞きたいが、あまり触れられていないように感じる。候補者も有権者も関心が低下しているのではないか」
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